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選手権予選敗退から立ち上がった3年生の献身と執念!東山は粘る帝京を振り切って鎌田大地擁した2014年以来のプレミア復帰に王手!

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東山高は帝京高との激闘を3-2で制してプレミア復帰に王手!

[12.12 プレミアリーグプレーオフ1回戦 帝京高 2-3 東山高 ホットスタッフフィールド広島]

 何度も、何度も、悔しい想いを突き付けられてきた2025年のラストチャンス。このチームのために、後輩たちのために、そしてなかなか結果を残せなかった自分たちのために、この180分間は絶対に勝ち切ると決めている。どれだけ苦しくても、キツくても、諦める選択肢なんて端から存在しない。

「僕たちはここまで全部のタイトルを落としてきて、この最後のプレミア参入戦でしっかりプレミアに上がることしか残っていないですし、それをしっかり達成するしかないという気持ちでここに来たので、あと1勝するだけかなと思います」(東山高・田中惺七)

 2度にわたって追い付かれても、3度目のリードを守り切って、12年ぶりのプレミア復帰に王手!高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグプレーオフの1回戦が12日に広島県内で開催され、帝京高(関東1/東京)と東山高(関西2/京都)が激突した一戦は、シーソーゲームの末に3-2で東山が勝利。14日の決勝では尚志高(東北1/福島)と昇格を懸けて対峙する。


「相手がビルドアップで繋いでくるチームということはわかっていました」とキャプテンのDF上山泰智(3年)が話したように、試合は帝京がボールを動かし、東山が前からプレスを掛けながらショートカウンターを狙う構図に。ただ、負ければ終わりの一発勝負ということもあってか、序盤はどちらも様子を窺うような流れで立ち上がる。

 ファーストチャンスは前半12分の帝京。ピッチ中央やや左、ゴールまで約25メートルの位置からFW宮本周征(3年)が枠へ収めた無回転FKは、東山GK麻生太朗(2年)がファインセーブで凌ぐも、あわやというシーンを。15分は東山にも好機到来。左サイドからMF村上絢哉(3年)がクロスを上げ切ると、ファーでMF深木陸人(3年)が折り返し、FW中井真栄(3年)のヘディングはわずかにゴール左へ逸れるも、サイドアタックから良い形を作り出す。

 東山はボールこそ持たれる中でも、「彼らをリスペクトはするものの、だからと言って下がりすぎず、強気でやれたのが功を奏したのかなと思います」と福重良一監督も振り返った通り、右からDF尾根碧斗(3年)、DF岩崎大雅(3年)、上山が並んだ3バックはラインを高めに保ち、縦幅をコンパクトに維持。MF善積甲知(3年)とMF林亮太朗(3年)のドイスボランチも幅広く動き回り、中盤にフィルターを掛け続ける。

 すると、先に試合を動かしたのは東山。43分。田中が右へ振り分け、深木のクロスに村上がボレーで合わせたこぼれ球は、林の元へこぼれてくる。「トラップも良い形で決まりましたし、蹴った瞬間に入ったなという感触はありました」。8番のボレーはゴールネットへグサリ。両サイドを幅広く使った好アタックから先制点を奪う。




 追い掛ける展開となった帝京は、45分に決定機。左サイドをDF谷津勇月(3年)、宮本、MF杉岡侑樹(3年)が細かく繋ぎ、MF原田誉裕(2年)が中央から放ったシュートは、しかしクロスバーの上へ。前半は東山が1点をリードして、45分間が終了した。


 後半に入ると、すぐさまカナリア軍団の歓喜が弾ける。6分。左サイドでMF木村恵真(3年)を起点に前進すると、宮本が右へ丁寧なラストパス。駆け上がったサイドバックのDF小林爽人(3年)が放ったシュートはゴールへ吸い込まれる。1-1。スコアは振り出しに引き戻された。




 追い付かれた東山は、それでも折れない。「ウチの強みであるハードワークを出せれば、体力的には向こうが先に落ちるだろうとは思っていたので、『2点目を獲ろう』という声は掛けていました」(福重監督)。前線からプレスを掛け、奪ったボールは常に縦へ。次の1点を全力で獲りにいく。

 25分。左サイドから村上が中央へ折り返すと、ニアサイドは混戦に。最後は「ゴール前では粘り強くというのは、東山高校の持ち味なので、絶対自分のところに来ると信じて、中に入っていきました」という田中がプッシュしたボールが、ゴールネットを揺らす。2-1。再び東山が一歩前に出る。




 30分。帝京も諦めない。右サイドの深い位置に潜った宮本の折り返しに、途中投入されたMF渡辺莉太(2年)が丁寧に合わせたシュートは、きっちりゴールを貫く。2年生ジョーカーが重要な一戦で大仕事。2-2。勝利を求めるお互いの意地がぶつかり合う。




 32分。炸裂した東山の執念。「2点目を決められてもテンションを落とさず、『もう1点獲りに行こう!』という声が出ていました」(上山)「2失点目の時は一瞬落ち込んでしまったんですけど、自分たちなら点が獲れると信じていたので、そこはすぐに切り替えて、『1点獲ろう』と声を掛け合っていました」(林)。右サイドで尾根を起点に、深木がグラウンダークロス。「最初はダイレクトで打とうと思ったら、足が絡まってしまったんですけど、いい感じにボールが前に来たので、あとは思い切って打ちました」というFW岡本明己(2年)のシュートは、ゴールネットへ到達。3-2。この日3度目のリードを強奪する。



 終盤を迎えても、東山の選手たちは冷静だった。上山が「自分たちがパスを繋いで時間が作れたら良かったんですけど、それができていなかったので、ああいう形で時間を進めに行きました」と言及したように、ある程度割り切ったゲーム運びを徹底。コーナー付近でのボールキープも辞さず、着実に時計の針を進めていく。

 そして、4分間のアディショナルタイムが過ぎ去ると、試合終了のホイッスルがピッチに鳴り響く。「こういうゲーム展開の試合を、今までは落としてしまったり、同点で終わってしまうこともあったんですけど、そこを選手たちも学習して、この大一番で改善してくれたのかなと思います」と福重監督も口にした東山が、鎌田大地を擁した2014年以来となるプレミア復帰に王手を掛ける結果となった。





 11月8日。高校選手権京都府予選決勝。東山は延長戦の末、新人戦とインターハイ予選でもファイナルで競り負けていた京都橘高に0-1で敗れ、全国出場の道を閉ざされてしまう。

「やっぱり選手権に負けてから、チームの雰囲気が不安定になる時期もありましたし、すぐ切り替えることは難しかったです」とキャプテンの上山が話せば、「負けた直後は、懸けてきたものが大きかったので落ち込んでいましたし、チーム全体も切り替えられなかったと思います」と林。やはり選手権敗退がもたらす喪失感は、想像以上に大きかった。

 だが、チームは、選手たちは懸命に前を向く。プリンスリーグ関西では、首位に立っていた最終節の阪南大高戦に勝ち切れず、優勝をさらわれてしまったが、プレミアプレーオフ進出の権利を獲得したことで、もう一度モチベーションを高め直していく。

東山を束ねるキャプテン、DF上山泰智


「特にこの1週間は、先生やスタッフの方々が自分たちのモチベーションを上げるようなことを言ってくださったので、自分たちも『やらなくてはいけないな』と思いました」と田中が言及した空気感には、もちろん福重監督も敏感に気づいていた。「広島に移動してきて、昨日も選手権の時の顔つきになっていたので、『今日はしっかり戦ってくれるな』と少し安心しながら見ていました」。後のなくなった3年生を中心に、スタンドからメンバー外の部員も大きな応援の声を張り上げたチームには、改めてこの日の勝利を手繰り寄せられるだけの一体感が生まれていたのだ。

 プレーオフ決勝の相手は、インターハイベスト4の尚志に決まった。難敵との対戦になったのは間違いないが、もう泣いても笑っても、このメンバーで戦えるのは1試合のみ。覚悟なんてとっくに決まっている。

「プレミア昇格は後輩のために残せるものでもありますし、僕たちは新人戦、インターハイ、選手権と獲れなかった分、ここで1つでもタイトルを獲れるように、最後の試合もチーム一丸となって勝ちたいと思います」(上山)

「今日勝ったことは嬉しいですけど、次に勝たないと意味がないと思いますし、自分たちは選手権に出られない中で、そこに出る尚志さんと試合ができるので、チャレンジャーとして挑んで、全力を出して勝ちたいと思います」(林)

「自分たち2年生がプレミアに上がって戦えることは凄く良い経験になると思うので、必ず上がりたいと思っていますし、3年生の最後の試合を良い勝ち方で終われたらいいなと思っています」(岡本)

 舞台は完全に整った。いざ、今シーズンのラストゲームへ。このチームのために、後輩たちのために、そしてなかなか結果を残せなかった自分たちのために。3年生が刻む、正真正銘の最終章。東山はプレミアリーグを戦う権利を、全員で、全力で、掴み取る。



(取材・文 土屋雅史)

●高円宮杯プレミアリーグ2025特集
土屋雅史
Text by 土屋雅史

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