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「ロス五輪への推薦状」第26回:九州新人での目立つ動きに「あの野性味は良い」の声も。偉大な先輩たちに続く可能性を秘めた強力ストライカー、鹿児島城西FW境勇翔

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九州新人大会で目立つ動きを見せた鹿児島城西高のFW境勇翔(2年)

 2028年ロサンゼルス五輪まであと2年。ロサンゼルス五輪男子サッカー競技への出場資格を持つ2005年生まれ以降の「ロス五輪世代」において、年代別日本代表未招集の注目選手たちをユース取材ライターの森田将義記者がピックアップ

 タレントの宝庫である九州の新星を一目見ようとプロや大学のスカウトが多く訪れた九州新人大会の中でも、特に目立っていた選手かもしれない。「ラフにロングボールを蹴っても追い付けるし、おさめてシュートまで持っていける。あの野性味は良い」。ある大学の指導者がそう口にしていたが、ゴールに迫るダイナミックな動きでサッカー関係者を虜にしていたのが、鹿児島城西高のFW境勇翔(2年)だ。

 武器であるスピードを生かすため、中学時代は右サイドバックでプレー。高校に入ってからは右サイドハーフとしてプレーしていたが、高校2年生だった昨夏に1学年上でU-18日本代表のFW大石脩斗(今春、筑波大に進学)が怪我で戦線離脱。「ゴールに向かう姿勢が素晴らしい」(新田祐輔監督)との理由で代役に選ばれたのが、境だった。

 FW大迫勇也(現神戸)を筆頭にこれまで数多くのストライカーを育ててきたチームであるため、育成ノウハウはある。「FWに求めるのは常にゴール向かう姿勢。受けて(味方に)渡すのではなく、受けたボールは全部、反転してほしい」と明かすのは新田監督でポストプレーのイロハを徹底して教わった。

 当たり負けすることが多かったフィジカルを強化するため、高校入学後は境自身が食トレに励んできたのも大きかった。体を大きくするため、毎日学校におにぎりを持参し、お腹がすいたら食べることで空腹の状態を作らないようにしてきた。家に帰ってからも、夜ご飯を食べた後にも夜食として胸肉と白米を食べるようにしているという。そうした取り組みの成果もあって、高校に入ってから体重が8kgも増加。177cm、70kgのプロフィール以上にプレーは力強く、相手にぶつかってもバランスを崩さず、ボールを失わないままゴール前まで運んでいける。

 Jクラブが争奪戦を繰り広げた大石とともにプレーした経験もストライカーとしての成長を促進したのは間違いない。「大石君からは胸トラップの仕方とカウンターになった時に相手が対応してきたら、嫌なところに運ぶプレーを教わりました」。通常の選手ならヘディングで対応するボールを胸でおさめることで確実に次のプレーへと移行できる。起点となって終わりではなく自らゴール前まで持って行けることも相手DFにとって脅威だ。

 ストライカーとしての素養を身に付けた境は、最終学年を迎えた今年に入ってからはエースナンバーである9番を授かった。九州新人大会は「決定力が課題」と反省したように得点は長崎日大高戦での2ゴールのみに終わったが、チャンスでないボールをチャンスに持ち込む場面は多く、ストライカーとしての可能性を感じさせたのは確かだ。

「前は抜け出すだけだったけど、今は狭い中でもためて前を向いてシュートを打てる」と成長を口にするのは新田監督で、秀逸だったのは反転シュート。後ろ向きでボールをおさめても屈強なフィジカルで相手を退け、生まれた空間を生かして振り向きざまに強烈なシュートを放つ。

 泥臭くても、どん欲にゴールに向かい続けるストライカーとしての姿勢は指導者が教えられるものではない。彼が持つ天性の素質にクォリティーが伴ってくればゴールラッシュとなる可能性は十分ある。ストライカーとして一皮むけた時には大迫、大石といった偉大な先輩たちと同様に日の丸のユニフォームを背負えるはずだ。

(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

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