beacon

[高校選抜選考合宿]「まだまだ過ぎて自分に腹が立っている」C大阪入りの市立西宮MF後藤は「悩んで」成長を

このエントリーをはてなブックマークに追加

 1月30日にセレッソ大阪入りが発表されたMF後藤寛太(市立西宮3年)は、日本高校選抜合宿2日目の紅白戦で左MFとしてプレー。ドリブルからシュートへ持ち込む場面もあったが、全体的にボールに絡むことが出来ず本人も「まだまだ過ぎて自分に腹が立っている。ヤバイです」と怒りの矛先を自らへと向けていた。

 全国高校選手権では優勝候補の山梨学院から2ゴールを決めるなど4得点。前を向いた時の推進力とシュートセンスの高さなど、全国的に無名校だった市立西宮の無名の10番は一躍高い評価を得た。公立校ながら初出場で全国8強まで勝ち上がった“市西旋風”の立て役者は、選手権開幕時はまだプロ入りを決めていなかったが、それでも自らの力でオファーを勝ち取った。「(選手権のパフォーマンスは)だいぶ不本意やったけれど、それでも受け入れてくれるんやと思いました。オファーが来るかどうか分からなかったし、来たときはうれしかった。(高いレベルの)環境に身をおきたいと思っていた」と喜ぶ。

 それでも目標を勝ち取ったからこそ出てくる重圧と戦う毎日だ。「不安すよ。今、相当ヤバイッス。精神的に」と口にする。高校では自分自身のプレーについて常に悩みを抱えていたという。周囲にグチとかを話すことで発散してきたというが、それでもプロ入りが決まり、日本中の高校生の代表として選抜合宿に臨んでいる現在は、これまでと比べものにならない不安と葛藤している状況だ。

 選手権後は大学入試センター試験を受験するなど、サッカーにだけ時間を割いてきた訳ではない。それでもくさびの受け方、フィジカル面などライバルたちとの差を感じている。「全然ダメです。ホンマダメです。FWはみんな能力高くて自分で行けるから、自分で行くという能力をつけないといけない。きょう自分で行けへんかったし、レベル高いところでは通用せえへんところがあるからもっとやっていきたい。(プロとして周囲との)違いを見せるということよりも、自分で成長していきたいです」

 まだC大阪への合流しておらず、高校選抜選考合宿終了後の宮崎キャンプからプロ生活が本格的にスタートする。市立西宮の大路照彦監督やC大阪の強化担当も訪れていたこの日は期待に応えるプレーをすることができなかった。それでも、やるしかないことは本人が誰よりも分かっている。これまで抱えてきた不安はコツコツと積み重ねていくことで消してきた。高校生でプロ入りの夢を叶えた後藤はこれからも悩んで、悩んで、成長する。

(取材・文 吉田太郎)

TOP