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[大学MOM_37]明治大DF日野竜一(3年)_“罪滅ぼし”の決勝弾

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[大学マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.18 関東大学サッカー1部第21節 明治大 3-2 国士舘大 三ツ沢陸上]

 「(天皇杯の)新潟戦は自分の失点。罪滅ぼしではないけれど、チームのために何とかしたかった」。後半25分から出場し、チームを全国へ導く一撃を決めたSBは試合後、この試合に懸けていた思いを口にした。

 明治大DF日野竜一(3年=国見高)は今季FW登録されていたプレーヤーだが、J1勢撃破を果たした天皇杯のモンテディオ山形戦では右SBとして勝利に貢献。だが、同じく右SBとして出場した15日のアルビレックス新潟戦では相手アタッカーの突破を止めきれず、2度失点に絡んでしまった。
 そして、天皇杯で快進撃を続けていたチームは1-3で敗れ、日野はこの国士舘大戦で先発落ち。それでも2-2に追いつかれた直後の後半25分から左SBとしてピッチに立つと、大仕事をしてのけた。

 39分、左サイドでMF山田大記(3年=藤枝東高)からの好パスに反応するとドリブルから右足シュートを撃ち抜く。気持ちの込められたボールはGKの手を弾き、ゴールへと吸い込まれた。4月30日の中央大戦以来となるゴールは、チームの全日本大学選手権出場を決める値千金の一撃。「出たらやってやるという気持ちだった。チャンスを与えてくれた監督、コーチ、そしてこの試合のためにモチベーションビデオをつくってくれた(控えの)4年生のため」の思いも込めてのゴールだった。

 ただ、試合後の笑顔は少なめ。「これをきっかけにして“罪滅ぼし”ではないけれど、次の(首位・)流経大出られたら課題の安定したプレーを見せたい」と前を見据えた。この日、ヒーローになったからと言っても安心感は全くなかった。次の試合でも、その次の試合でも常に高いパフォーマンスを出し続けること。絶対的な存在になりきれていない自分をもう一段階引き上げたいという思いが強いからだ。
 
 1対1の強さと攻撃力を備える日野はこれまでFW、SBに加えてCB、SHでも、公式戦に出場。練習ではボランチを務めることもある万能型。だが「どこでもできるというよりも、どこのポジションも中途半端ということ。(どのポジションでも)どこかで壁にぶつかってしまう。安定したプレーが出来ていない。私生活から見直しているけどまだ」と納得はしていない。“万能型”をいい意味で脱却すること。「だから、ひとつのポジション、今はサイドバックのポジションを極めたい」とSBでチームにとって欠かせない存在となることを誓う。この日、チームに全国をもたらした決勝ゴールをきっかけに、自分自身の壁も破る。

(取材・文 吉田太郎)

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