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コンフェデ杯出番なしは「悔しかった」…新シーズン、酒井高徳は結果にこだわる

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 ドイツに渡って1年半。シュツットガルトでSBのレギュラーを確固たるものにするDF酒井高徳だが、先月開催されたコンフェデレーションズ杯では出番なしに終わるなど、SBの層の厚い日本代表にあってレギュラーを奪取するには至っていない。W杯までの残り1年でやるべきこととは何か。新シーズンにかける意気込みを語ってもらった。

―コンフェデレーションズ杯、日本代表は3連敗で敗退となってしまいました。酒井選手ご自身は残念ながら出場機会に恵まれませんでしたが、参加してみてどのようなことを感じましたか?
「外から見ていただけなので、あまり語りたくはないのですが、いろいろ個人個人思ったことはあったと思います。その中でも自分は対戦国の同じポジションの選手であったり、日本のSBがどれくらい出来たのかといった部分は気にして見ていました」

「一言で言えば『レベルが高かった』ということだと思います。チームとして行っていましたが、チームとしてというより、あのレベルに行くにはどうしたらいいのかなというのは注意して見ていましたし、自分の課題というのはいろいろな面であるなと思いました。それを1つ1つ克服していくことが大事だと思っています。その中でも敢えて挙げるとすれば、自分の武器は攻撃力を上げることだと思っているので、前に行くことが特長だと自分でも把握していますし、前に行って結果を残せるような選手になりたいなと思っています」

―課題の克服が代表でのレギュラー奪取にもつながっていく。
「最後の精度の部分が大事だと感じました。クロスであったり、フィニッシュの精度は高くしたほうが、チャンスに絡むシーンは多くなるんじゃないかなと思います。前に出た時のクオリティーを伸ばしていきたいなと思いますね。でも各選手いろいろな課題を持っている中で、それぞれ全部を伸ばすわけにはいかないとは思います。それが一番いいのかもしれませんが、そんな時間もありません。長い間プレーをしている中で埋まっていくものだと思うし、1年で自分の課題が埋まったら苦労はしません」

「そういう意味でもメンバーに食い込んでいく中で何が一番アピールできるかと考えた場合、まずは結果を残すしかないと思います。(結果が出れば)いろいろな意味でポジティブに変わっていくんじゃないかなと思います。現に自分が結果を残せた試合は、90分間自信を持ってプレー出来ています。何かを残すという意味での結果を出すことを課題としてやっていきたいなと思います」

―数字面での結果も気にしていますか?
「数字というと大袈裟ですが、(トータルで)何十点とか、何十アシストとかはないです。試合ごとに目に見える結果というのは1試合でも多く付けたいなとは思いますね」

―昨季はドイツに渡って初めてフルシーズンを過ごしました。リーグ戦は28試合に出場。その他EL、カップ戦でもコンスタントに出場しました。
「試合数は十分だったかもしれませんが、内容が自分の中では満足いくシーズンではなかったのかなというのが正直なところです。リーグもそうだし、ELもそうだし、代表もそうだし、結果を残せた試合もあったけど、残せなかった試合もありました。もちろん毎試合毎試合、結果が残せるわけではない、難しいというのは自分でも把握していますが、パフォーマンスの波は変えることが出来るのかなと考えています。波が激しいとうまく『結果』というところには結びつかないのかなと思います。そういったパフォーマンスが続いたのかなというのが自分の中では今シーズンはあった。チームでレギュラーとして出ていましたが、プレーの内容面では満足はしていないというのが本音ですね」

―ドイツ杯決勝など痺れる試合も経験しました。
「でも大きな試合でしたが、常にリーグ戦やELで戦っているからか、あまり緊張はありませんでした。そういうメンタルの部分では強くなったのかなと感じています」

―ドイツに渡ってみて刺激を受けた選手はいましたか?
「ブンデスで言えば、DFフィリップ・ラーム(バイエルン)。ドリブルのキャラでもないと思うし、1人で打開するというタイプでもないですけど、回りをうまく使いながら最後の仕事が出来る。抜ききらず、スッとクロスを上げることも出来る。非常に質の高いボールを上げることが出来る。派手さはあまりないけど、結果には必ず絡むことが出来る選手がすごいと思う。小柄なのに守備もしっかり出来ていると思うし、一番お手本にしている選手ですね」

―今、ドイツ・ブンデスリーガが世界のスタンダードになりつつあります。酒井選手自身、ブンデスに移籍して2シーズン戦ってバイエルンであったりドルトムントの強さというのはどのようにお考えですか?
「元から強かったチームですし、やっぱり強いなというのはバイエルンには感じます。ドルトムントは強いけどそこまでかなと感じます。ドルトムントだと勝ち試合に持って行けるかなと感じています。昨季の結果だけなら引き分けと負けでしたが、内容的に見たらシュツットガルトが圧倒されるわけでもなかった。向こうのゴールも何回も脅かしていたし、対照的にバイエルン戦はウチは大敗してしまうことが多かった。やっていても感じたので、バイエルンは本当に強いなと感じましたけど、ドルトムントに関してはこのチームだったら勝てるかなというのは感じましたね」

―ドイツ勢躍進の理由の一つとして、ボール奪取力の強さという点が挙げられます。
「チーム全体の奪取力より、個の奪取力が強いかなと感じます。オフェンシブな選手でディフェンスが得意じゃない選手も何人かいるので、かわせたり、外せたりというというのはありますが、2ボランチの奪取力は本当に強い。誰がボランチで出ても強いなと感じますね。コンフェデ杯にも出ていた(ブラジル代表)MFルイス・グスタボであったり、(スペイン代表)MFハビ・マルティネスであったり、MFバスティアン・シュバインシュタイガーもそうですし、誰が入ってもボール奪取力は強い。あのチームを支えているのはボランチかなと思います」

―今後、日本代表が強化していかなければならない、非常に大きな要素に感じます。
「僕を含め、みんな海外でやっていて、ボールを取りにくる欧州の選手たちの個の力というのは分かっていると思う。(コンフェデ杯で)イタリアがスペインに苦戦したのは、球際のところでプレスがかかっているんだけど、しっかりボールを取りきるかどうかが、リズムにつながっていく。逆にチャンスの時はそういうシーンからだったと思うし、ブラジルと日本がやった時も、しっかりプレスの形は出来ていたと思うのですが、どこでボールを取りきるかといったところで、ファーストDFでかわされたり、五分のボールなどを取りきれなかったり、後手を踏んで守備をしてしまった。僕も欧州にいて、取る力は大事だなと思っています」

―個の力と言われる部分。身体能力のすごい選手がたくさんいる中で、考え方一つで差を埋めることは可能だとお考えですか?
「難しい質問ですね。結局組織でサッカーをするんだったら、Jリーグに固めて日本代表を作ればいいと思う。そういう風にやっている国を年代別で見たことがありますし。でも組織だけで守れるんだったら、日本のサッカーではないと思う。ザックさんが言っているみたいに、日本の選手のクオリティーは非常に高くなっていると思う。世界に対抗できる攻撃、守備は出来ると思うし、欧州を経験している選手も多いので、当たりに強い選手もいる。その辺の対応の仕方が出来る選手もいる。チーム力という言葉で片付けられるのであれば、そんなにみんな苦労していないと思う。チーム力も結局は個が大きければ大きいほどチーム力が大きくなっていくわけで、バラバラではなく、コンセプトを持って戦えば非常に大きなものになると思う。そのためにもベースは個人なんだから、ベースの部分が大きくならないとチームとして大きくならないと思います。やっぱり個は大事かなと思いますね」

―そういった意味でもスパイクは個を助ける武器になります。『adizero F50』を選んでいるポイントは?
「一番は軽さですね。軽いスパイクがいいかなと思います。大事なスピードにもつながります。大きな舞台になるほど、『どんだけ速いんだ』という選手が出てくるので、それに対応できるスピードは持っていなければいけないと思いますね」

―スピードがある選手には怖さがある。
「思いますね。一発で行かれる怖さを常にDFに与えると思うので、深読みしてしまって、何でもされてしまうというシュチュエーションもあった。例えば速い選手なので距離を取ってDFしようかなと思ったら、離れた瞬間にかわしてシュートされたりだとか、逆に詰めたときに簡単に叩かれたりと、スピードがあればいろいろな選択肢が持てると思います」

―『adizero F50』を履けば、どのようなプレーがチームの助けになってくれると思いますか?
「自分は前のクオリティーを上げなければいけない。そういう意味ではフィット感も重要になると思う。スピードの部分でいったら、縦への突破だったり、中に切り込んでのシュートだったりというスピードを求められるプレーがこのスパイクで出来ると思うので、それを使いながら自分の課題としている結果の部分につなげていきたい。そういった意味では軽さとフィット感は大事かなと思いますね」

―高徳選手のようなプレーヤーを目指している中学生、高校生もたくさんいます。
「どの年代に言うのかで変わってくるとは思いますが、自分は中学校から高校までと高校からトップに上がるまでですごく伸びたと思う。それが何故かというと、キツい練習もしましたが、サッカーやっている時は本当に楽しかった。どういう風にプレーしたら上手くなるかなと考えている自分も楽しかった。楽しさというのは大事だなと最近特に思います」

「中学校から高校に上がるときはクラブチームですごく自由なチームで毎日ゲームしかしないチームだったんですけど、制限のないゲームは選手たちの創造性を高めると思います。ああいうプレーをしてみようかな、ああいうシュートを打ってみようかなといろいろ考えることが出来る。いろいろと発想も生まれると思うので、サッカーを楽しむことが大事かなと思いますね」

―W杯までの1年。今季の戦いは非常に大事なものになると思います。今季にかける意気込みを。
「シュツットガルトでは昨季いい成績を残せなかった。チームのパフォーマンスがいい時は可能性をすごく感じるチームなので、やはり今の順位にいるチームではないと感じています。(順位で言うと)やはり4位以内を狙いたいなと思います。出来るチームだとも思います。代表ではやはり今回のコンフェデレーションズ杯を通じても出番がなかったことは悔しかった。チームでやっていることが代表につながるというのをコンセプトに置いてやっているので、シュツットガルトで結果を出して、また代表に呼ばれるように、またこれから残り1年でいろいろな選手が入ってくると思いますが、その中でもしっかり残っていけるようにしたい。まずはシュツットガルトで結果を残すことだと思います」

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(取材・文 児玉幸洋)

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