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[大学MOM_18]慶應義塾大DF三上佳貴(3年)関東屈指のCBは170cm

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[5.9 関東大学サッカー1部第6節 筑波大 0-0 慶應義塾大 西が丘]

 リーグナンバー1の得点力を備える攻撃陣が不発に終わった慶應義塾大だが、そのゴールが破られることもなかった。守備の中心にいたのは公称170cmの小柄なCB・三上佳貴(3年=藤枝東高)だ。昨年リーグ最多得点の筑波大攻撃陣にPAまで迫られる場面があった。決定的なチャンスもつくられた。だが自由にシュートを打たせず、ノーゴールに封じ込んだ。三上は「筑波はショートパスが多い。人をしっかりつかむところとファーストDFがしっかりいくところを気をつけた。緩くなったところもあったけど、基本的に90分間できたと思う」と満足げに語った。

 第3節の明治大戦では4失点したが、その後は3試合で2失点。コンビを組むCB笠松亮太(2年=東京Vユース)とともに最終ラインの中央で声を張り上げ、素早く厳しい動きで相手攻撃陣をブロックしている。自身初の関東1部に挑戦している今季。「明治戦で4失点したけど1部はやはり違う。あの試合で気を抜くとやられると思った。だがその後は対応できていると思う」。DFリーダーは1試合ごとに学びながらチームとともに成長を遂げている。

 関東1部の各大学では180cm台のCBが並ぶ中で三上の170cmの身長は極端に小さい。高校では多少の身長差でも補うことができたが、「J予備軍」とも言える関東大学1部レベルは違う。競り勝てない場面も出てきているが、それは自分自身で理解している。「DFだったら身長もひとつの武器だと思います。だから170cmのボクはDFとしての実力がひとつ欠けていると思う。でもストロングポイントのスピード、判断力、そして攻撃的なラインコントロールで対抗できている」。
 静岡の名門・藤枝東高時代は選手権県大会決勝で敗れるなどあと一歩で全国大会に出場したことがなかったが、今春は関東大学B選抜にも選出。全国経験のない無名のDFは全員がJリーグを目指しているような関東選抜の中で自分を試し、他の選手から学ぶこともできた。そして迎えた初の関東1部では自信を持って戦うことができている。

 「今年の(慶大)メンバーなら優勝だったり、上を狙えると思う。でもスキがあったら勝てない。目標を高く持っていきたい。ボク自身全国に出たことがないので、インカレに出たい。1試合1試合課題を持ってレベルアップしていきたい」。
 高校時代、三上についての評価として聞かれた言葉は「あと10cmあればJでも・・・・・・」。だが10cm足りないからこそ磨いてきた武器がある。三上はその武器で「慶大は守備が弱い」というイメージを払拭し、J予備軍たちと真っ向勝負を挑んでいく。
 
(取材・文 吉田太郎)

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