[7.29 全国高校総体1回戦 四日市中央工1-2近大附 松本歯科大陸上競技場]

　夏の高校日本一を争う平成24年度全国高校総合体育大会「2012北信越かがやき総体」サッカー競技(長野)は29日、1回戦23試合を行い、1月の全国高校選手権準優勝の四日市中央工(三重)対近大附(大阪2)はFW大西崚太主将(3年)の2ゴールの活躍により、近大附が2-1で勝った。近大附は30日の2回戦で前回大会準優勝の静岡学園(静岡)と対戦する。

「四中工は後半に強い。立ち上がりからいって、早いうちに点を取ることを考えていた。先に点を取れて勢いづけることができた」。2得点の大西が笑顔で振り返っていたが、試合開始からフルスロットルで四中工ゴールへと襲い掛かった近大附が前半の2得点でV候補を撃沈した。

　選手権準Vメンバーの大半が残り、優勝候補に挙げられていた四中工だが、選手権得点王のJ注目FW浅野拓磨(3年)が鎖骨骨折のため欠場。また選手権時に1年生レギュラーだったCB坂圭祐(2年)も直前の練習でひざを負傷して不在と苦しい布陣だった。対して試合巧者・近大附は山田稔監督が「CBとサイドの間を狙いながら、カウンターの“タネ”をつくらせないようにした。ボールの奪われ方に注意した」と戦略を説明。相手の高速カウンターを発動させないようにリスクを管理すると同時に、相手の急造ディフェンスラインに徹底して揺さぶりをかける。

　大西やFW吉野竜生(2年)が競り合いで強さを発揮し、セカンドボールの攻防戦も制していた近大附はペースを握ると、流れの良い時間帯に先制点を奪う。14分、MF下田義起(2年)の右CKを大西がダイビングヘッドで押し込んで先制。さらに21分には左サイドで豪快な突破を見せた吉野がシュートへ持ち込み、最後は混戦から大西が決めて2-0へと突き放した。
　
　四中工は攻撃のスイッチとなるべきパスが乱れ、ボールを奪ってもなかなか攻め返すことができない。28分にMF田村大樹(3年)が思い切った左足ミドルを放ち、30分には右サイドを崩してMF松尾和樹(3年)のラストパスをJ注目FW田村翔太(3年)が決定的な形で合わせたが、このシュートはゴールマウスに弾かれ、追撃することができなかった。

　それでも、後半に相手のパスをカットする回数を増やした四中工は16分、松尾のスルーパスを田村翔が左足で流し込んで1点差。選手権得点ランキング2位で、ダブルエースの一角を担う田村翔のファインゴールで同点への望みをつないだ。勢いづいたチームは運動量の落ちた相手を攻め立てようとする。だが後半も大西を起点に攻める近大附は素早くボールを動かすと前線の選手に1人、2人とかかわり、ディフェンスラインの背後を取る絶妙な崩し。大西やFW江本遼(1年)が決定的なシュートを放つなど押し返し、相手にいい形での攻撃をさせなかった。

　そして「4年前も2年前も最後に失点して逆転負けやPK負けしている。集中して絶対に守り切ろうと思っていた」という166cmCB内野圭(3年)を中心とした3バックが相手のロングボールを確実に跳ね返して試合終了のホイッスル。過去の敗戦を糧に集中した守りを70分間貫いた近大附が、四中工を打ち倒した。16強へ進出した選手権以上の躍進が期待される今大会、大西は「日本一という目標を果たしたい」。一方、四中工の田村翔は「集中力が低くて今から攻撃というところでミスが出た。攻撃の時間を長くできなかった」とがっくり。浅野らが復帰する選手権で、昨年度あと一歩で勝ち取ることのできなかった日本一へ再挑戦する。

[写真]前半14分、近大附FW大西(中央)が2点目のゴール
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文　吉田太郎)

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