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[MOM854]広島皆実MF高岡大翼(3年)_試合の流れを変えた、いぶし銀の働き

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.5 高円宮杯プリンスリーグ中国第14節 広島観音高0-1広島皆実高 広島皆実高G]

 自分たちの持ち味が出せずに辛勝で終わったこの試合。試合後、多くの辛らつな言葉を並べた広島皆実高・藤井潔監督が、数少ない賞賛を送ったのはキャプテンでボランチのMF高岡大翼に対してだった。

「高岡の頑張りが非常に効いていた」。指揮官の言葉通り、歯がゆい流れが続いたこの試合のターニングポイントとなったのが彼の存在。「勢いを持って行くので両チーム蹴りあいになった」と高岡が振り返った序盤は両者、前線にボールが入るものの、アイディアを欠いたフィニッシュワークでリズムを失っていたが、試合が進むにつれ、高岡が持ち味であるイーブンのボールに対する球際の強さで、相手の攻撃の芽を摘み、後方からのポゼッションの基点として機能。「自分たちの持ち味であるパスで攻める部分を落ち着いた時間から出せたと思う。プレッシャーが速い中でも、自分たちの持ち味は出さないといけないと思っていたので、後半、落ち着いてパスが回せたのは良かった」という後半の建て直しに貢献した。

 奮闘の裏には「1年の頃も、2年の頃も選手権の準決勝で観音に負けた。観音に対する気持ちは誰よりももって試合に入った。観音だけには負けたくなかった」という思いがあった。広島をリードする広島皆実だが、彼が入学してから、ずっと全国の舞台には届かず、悔し涙を飲んできた。最終学年を迎え、今年こそはという思いで挑んだ高校総体でも、決勝戦でもう一つのライバルである瀬戸内に0-4と完敗。「自分たちのサッカーが完全に封じられて、瀬戸内のサッカーを全面に出された。結果を見ても内容を見ても完敗だった」。

 高校生活で残された舞台は選手権のみ。「昨年、一昨年と比べて技術の面ではそんなに高くない。だからこそ、自分たちは粘り強さで勝たないといけないし、気持ちの面で負けていてはいけない」と改めて気を引き締める。これまで苦渋を味わったからこそ、「一つのゴールを守る守備の部分、点を獲る攻撃の部分でもう一つランクを上げていかないと選手権は厳しい。惜しいだけじゃダメというのは分かっているので、そこが変われば選手権は奪える。そこが最後の課題だと思う」と掴んだ課題もある。今も決してチーム状態が良いわけではないが、彼の言葉からは力強さがこもっていた。

「総体は瀬戸内に獲られましたけど、諦めていたら強くならない。瀬戸内に負けたまま卒業するのも嫌ですし、夏を越えて伸びた部分もある。チーム一丸になって、瀬戸内を引き摺り下ろして、チャンピオンになりたい」。もうすぐ絶好のリベンジする機会がやってくる。頂に立つ先頭に彼の存在は欠かせない。

(取材・文 森田将義)
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