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[MOM896]履正社DF安田拡斗(1年)_守備を支えた“ちょっとぽっちゃり”なDF

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.16 全国高校選手権大阪府予選決勝 履正社1-1(PK4-1)東海大仰星 金鳥スタ]

 何かを口にする度に呪文のように、言葉の前後につける「体重が思いんで…」という台詞。175cm、72kg。本人が気にするちょっと丸顔がチャームポイントの1年生DFだが、ピッチで見せたプレーは“軽やか”だった。

 履正社DF安田拡斗(1年)は中学時代、JFAプレミアカップ、クラブユース選手権U-15、高円宮杯U-15と主要タイトルを総なめにし、“最強世代”とも呼ばれたガンバ大阪ジュニアユースの一員だったが、「ストレッチ不足とかで大事な時期に怪我をして、あんまり大会に出られていなかった。満足に試合に出られたのは関西リーグくらい」と結果を残せず。ユースへの昇格も果たせず、地元の履正社で「頑張ろうと思っていた」という。入学当初はスタメン争いに絡めずにいたが、夏の石川遠征を機に自信をつけ、選手権予選からスタメン獲得。当初の目論見通り、大阪府1部リーグで優勝を果たした強豪で定位置をつかんだ。

 そして、ちょうど1年前、選手権で輝きを放ったガンバ時代の先輩も刺激になった。「昨年、江郷下(奨)君が凄く活躍していたんで、自分も同じように活躍したかった」。
この日の直接対決では、ボランチの位置からサイドへ開き、何度も突破を図った江郷下に決定的な仕事をさせなかった。そして、江郷下だけでなく、MF安藤優作(3年)を中心にサイドからチャンスを作った東海大仰星の攻撃に対しても「自分は太っているんで、その分、考えないとあかんなって思っていた。中学校は勝手に体が動いていたけど、高校に入ってスピードでやられる場面が増えた。なので、頭を使いながら試合に挑んで、周囲の選手を使って守ろうとしている。1対1も読んでボールを獲りたい。わざと縦に抜かせて、大きく蹴った瞬間に身体を入れるというのを狙っている」と自信を見せた“頭脳派の守り”で失点を1に抑えただけでなく、正確なロングフィードで速攻の起点となった。

 数えきれないくらい“太っている”というワードを口にしつつ、「太っている事にコンプレックスはないですけど…痩せたいです(笑)いや、痩せたくもないです。いくら動いても痩せないんで(苦笑)」と笑顔を見せたように、その体格だからこそ身に付いた才能もある。そして、「ユースに上がった(高木)彰人とか(市丸)瑞希にしろ凄い奴ら。上がっても通用しなかったり、ついていけなかったら意味がない。こうやって一つ結果も残せたし、ここ(履正社)で良かったと思う」とユースに上がれなかったからこそ得た結果もある。彼は彼らしく選手権でも、始まったばかりの高校サッカーの舞台でも活躍するはずだろう。

(取材・文 森田将義)
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