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[MOM898]市立船橋MF成田悠冴(3年)_急成長のMFが流経撃破の立て役者に

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.17 全国高校選手権千葉県予選決勝 市立船橋1-0流通経済大柏 ゼットエーオリプリスタジアム]

「ボランチがキーマン」。市立船橋のMF成田悠冴(3年)は流通経済大柏との大一番の試合前、朝岡隆蔵監督からそう言葉をかけられていたという。「蹴られるとバックがヘッドするので、そこでボランチが回収しないと取られて2次攻撃をされてしまう。そこはハードワークしていきました。監督からキーマンがボランチと言われていたので左右、上下に守備で貢献できるようにしたいと思っていたので良かったです」と成田は1-0で掴んだ全国切符に笑顔。朝岡監督も試合後、勝利の立て役者として成田の名を挙げ、「急成長しました。以前はボランチとして計算できなかったですけど、成長してくれました」とそのプレーを賞賛していた。

 この日は攻撃のキーマンであるFW石田雅俊とMF室伏航が流経大柏にマンマークされたこともあり、市立船橋は得意のパスワークがやや消された感があったが、それでも成田の攻守における貢献度は高かった。攻撃面ではブレずに1タッチパスをつなぐ一方、相手の強烈なプレッシャーをいなして前進。そしてこの日際立っていたのは守備面だ。運動量を発揮して中盤でのセカンドボール攻防戦で優位に立つと、ゴールライン際から切れ込もうとする相手を身体を張ってブロックした。1対1でも簡単に飛び込むことなく、相手アタッカーに粘り強く食らいついて対応。市立船橋は準決勝で守備のキーマンであるMF藤井拓が左肩に重傷を負ってこの日欠場していたが、成田はMF打越大樹(2年)とともにその分も動きまわって完封勝利に貢献した。

 危機感とともに守備意識が高まった。攻撃的なMFとして全国高校総体優勝に貢献し、大会優秀選手にも選出された成田だが、守備面では課題の残る内容。「インターハイの時に自分が変わらないといけないと感じた。大会期間中に特に守備意識の面で言われていたので。インターハイは前でプレーすることが多かったですけど、前は室伏だったり凄い選手が多いので、自分が生きるためにはボランチで、しっかり守備もできて、そこから攻撃に繋げられる選手にならないといけないと思った」と夏以降意識して守備面を磨き、全国舞台を懸けた決勝では攻撃よりも守備に重きを置いて80分間チームを陰で支え続けた。

 2年ぶりの全国大会出場を決めた試合後、成田は「嬉しい気持ちが大きいんですけど、ホッとしました」と語った一方で「ここで終わりじゃない。もっと力をつけて、やれることをしっかりしてみんなで笑って優勝できたらいいと思っています」。あくまで目標は全国制覇。急成長したMFは主役にならなくても、攻守に欠かせない存在としてチームの日本一に貢献する。

(取材・文 吉田太郎)
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