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[MOM969]富山一GK田子真太郎(3年)_“PK職人”「国立でPK止めてヒーローになる」夢叶える!!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.11 全国高校選手権準決勝 富山一2-2(PK5-3)四日市中央工 国立]

「最初から出たいという気持ちが凄く強いんですけど、自分自身に言い聞かせて、『国立でPK止めてヒーローになる』という夢を描いていた」。富山一の“PK職人”ことGK田子真太郎(3年)が、自身の願いどおりに国立でPKを止めてチームを初の決勝へ導いた。田子は2-2で迎えた後半アディショナルタイムから、GK高橋昂佑(2年)に代わって今大会初出場。高橋が「田子さんなら絶対に止めてくれると思っていた」という田子は今夏から“PK要員”として準備してきたが、これが公式戦では初となるPK戦だった。

「初が国立。緊張しました」というように、投入直後はプレッシャーのない状況でキックミスしてしまうなど、プレーから明らかに緊張が感じられた。それでも「彼は(出場機会を得られない間も)ずっと我慢していた。チャンス来たら、オレ絶対に止めるからと言っていた」とMF大塚翔主将(3年)が説明するように、田子はPK戦にかけていた。

 PK戦1人目、田子は相手のキッカーのすぐ近くまで寄って威嚇。「国立ということもあって、蹴る方も凄く緊張すると思っていたので、体格も活かして圧かければ枠を外すということもありえると思った」。この威嚇はレフェリーから警告を示唆されたことで「『次やったら警告ね』と言われたので控えめにしつつ、自分らしさを出していこうと思った」と自粛したが、それでも声で相手にプレッシャーをかけ続けると3人目だ。

 この日「スーパーFK」を決めている四日市中央工DF中田永一(2年)の左足シュートを左へ跳んでストップする。「シュートもいいコースに来たんですけど、自信持って止めました」というビッグセーブ。身体全体で喜びを表現した3年生守護神に勢いづけられた富山一は、5人全員がシュートを決めて決勝へ駒を進めた。

 本人も認めるように負けず嫌いでもちろん先発で試合に出たいという気持ちを持っている。プレミアリーグWESTでは残留が決まった後に出場機会を得たが、選手権予選は途中出場の1試合のみで、今大会はこれが初出場だった。ただ、1年前、チームが作陽(岡山)との初戦でPK負けし、必要な役割と理解して、自分の役割でヒーローになることを信じて取り組んできた田子の殊勲。「初の決勝進出へ導くことができたんで嬉しい。やったぞ、という気持ちだった。(メディアに)PKストッパーと言われてプレッシャーになっていた中で自分の仕事を果たせたので良かった」という田子は、決勝で例え再びPK戦になってもチームを勝たせるセーブをする。
 
(取材・文 吉田太郎)

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