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[練習試合]J1残留を誓う甲府MF羽生「達成できなかったら自分のせい」

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 今シーズン、FC東京からヴァンフォーレ甲府に加入したMF羽生直剛は、伸びのびとプレーしていた。「自分よりも自分のことを評価してくれている」と語る城福浩監督の下で、持ち味を最大限に発揮している。10日に行われた横浜FMとの練習試合では「初めてのJ1クラブとの対戦だったので、どうなるかなと思いながらプレーしていました」と話すが、甲府のチャンスのほとんどに、背番号22が絡んでいた。

 1、2本目を1-1という結果で終えたことに納得していた羽生だが、試合内容には改善の余地が大きいと語る。「朝、長い距離を移動してきたので、みんながシャキシャキ動ける感じではなかったのですが、それでも自分たち一人ひとりが、ポジションをしっかり考えて取れれば、もう少し自分たちの時間を増やせたと思う。オン・ザ・ボールでミスが起こることは仕方がないと思いますけど、オフ・ザ・ボールのときのポジショニングはこだわらないといけない。もう少しそこを丁寧にやり、自分たちの時間を増やせるようにしたい」と、キャンプでの課題を挙げた。

 プロ入り12年目となるシーズン、千葉、F東京と渡り歩いた羽生は、強い決意とともに移籍を決めた。「『やらなきゃいけない』ということはあります。昨年はタレント軍団の中で、どれだけできるかをポポヴィッチ監督に評価してもらいたかった。今年は縁があって、城福さんのチームでやることになりました。このチームには、このチームの目標がありますし、自分が来た以上は少なくとも(J2に)落とすわけにはいかない。このクラブの目標を自覚して、その目標が達成できなかったら『自分のせいだ』と思うくらいの気持ちでやりたいと思っています。個人的にも1年勝負して、自分がJ1で通用するのか、自分の中で判断できるシチュエーションだと思うので、楽しみながらやりたいと思います」。

 キャンプで、新たなチームメイトたちと時間を共有する中で、サッカーに取り組む姿勢に心動かされたという。「練習試合の映像を、みんなで見たりしているんですよ。自由参加なんですけど『19時から見るよ』となると、ほとんどの選手が集まって意見を交換している。そういうサッカーに真摯に向き合う姿を見ていて『彼らを簡単にJ2に落としたくない』、『良い思いをさせてあげたい』と思いましたし、それができたら自分にとっても良い経験になる。誰もが少しでもチームのためにできることを考えていることが、僕の中では新鮮でしたし、そうやってまとまっていくチームが、簡単に落ちるわけはないと思っています。J1に定着する第一歩になりたいし、みんなでそういうチームをつくりあげたい。つくりあげることが一番面白いと思うし、それができたら大きなモノになる。その一員になりたいと思います」

 この日は羽生の動き出しから、甲府の攻撃がスタートしていた。「若手の模範になりたいし、チームを引っ張っていきたい。甲府の中ではお金ももらっているでしょうし(笑)」と、冗談を飛ばすベテランは、ピッチ内で間違いなく良きお手本となるだろう。だが、F東京で「オジイチャン」と呼ばれていた男は、ピッチ外では相変わらずイジられ役だと苦笑する。

「普段はイジられていますね(笑)。FC東京の頃から『ニュウ』と呼ばれていましたが、ここではN・E・Wになっちゃっていますから。『マッサージの順番を紙に書いておいて』って頼んだらNEWって書かれていて『オレ、新しくねーぞ』って(笑)。でも、サッカーの話になるとリスペクトしてくれている面もあると思いますし、真面目に話はできますからね。僕からも『オレ、どうしたらよかったかな?』って聞いたり、お互いにコミュニケーションをとりながらやっています。それを(1年間)やり切りたいし、形にしていきたいです」

 早くも新たな風を甲府に吹き込みつつある33歳の羽生は、大きな挑戦に目を輝かせている。
(取材・文 河合拓)
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