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[練習試合]新たな甲府の武器 MF水野「得点、アシストを量産したい」

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 コンディションの良さを感じさせるプレーぶりだった。9日に行われた横浜FMとの練習試合に先発出場したヴァンフォーレ甲府のMF水野晃樹は、右サイドでボールを受けると、対峙するDFをかわしてゴール前に何度もクロスを供給した。両足を同じように扱える高い技術に加え、瞬時にトップスピードに加速するドリブルは、甲府にとって大きな武器となるだろう。

 水野自身も「キャンプ中なので疲労はたまっています。その中でどれだけできるかを確認できました」と、手応えを口にする。具体的にできた点に「うまく連係で裏に飛び出して、自分の得意なセンタリングまで行けた部分」を挙げ、そこから先を課題に挙げた。

「ラストボールの質だったり、そういう部分でフィニッシュまでいけないことが多かった。中の枚数が少なかったことは、要因の一つです。でも、その状況でも一本(のクロス)を合わせることが自分の仕事。中に一人しかいなくても、合わせないといけない。まだ足りないですね」

 自信の得意な形を周囲にも伝えている。「ニアに入ってくる人が少ない。そこは話しています。僕も、どちらかといえば、アーリー気味にPA内のニアから中央に入れることが多いので。そこら辺は、やっていくうちに少しずつ合ってくると思う。まだキャンプですから」と、焦る様子はない。

 千葉を2007年に離れ、スコットランドの名門セルティックへ渡ったが、出場機会をつかむことはできなかった。2010年に柏へ戻ったが、3シーズンでリーグ戦に出場したのは25試合、ゴールも1にとどまっている。最も輝いていた千葉時代を知るMF羽生直剛は、当時と比べて「ちょっと錆びついていますね」と冗談を交えつつ、「昔の感覚でプレーできるので、懐かしいです。アイツの武器はチームの武器になる。苦しい局面を一気に変えてくれるはず」と、大きな期待を口にした。

 水野も、チーム、そして彼自身に対する評価を覆したいと考えている。「周囲の(甲府に対する)評価は低いと思うので、それを覆すようなサッカーをしていきたいです。初戦が大事だと思いますね。そこに勝つ、勝たないで勢いに乗るかどうかが決まってくると思うので、良いスタートを切って、乗っていきたいです。僕個人としては、守備で健闘するより、攻撃の選手なので、得点、アシストを量産してチームを引っ張っていきたいと思います」。

 昨季の得点源となったFWダヴィが鹿島へ移籍した攻撃陣の中で、水野にかかる期待は小さくない。早熟の天才と呼ばれた男は、まだ27歳。輝きを取り戻す時間は、十二分に残っている。
(取材・文 河合拓)
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