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デビュー戦で1G1Aも…柿谷「残念な感情しかない」

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[7.21 東アジア杯 日本3-3中国 ソウル]

 チームを勝たせたかった。先発でA代表デビューを果たしたFW柿谷曜一朗が1得点1アシスト。10年1月6日のイエメン戦でハットトリックを達成したFW平山相太以来、史上26人目となるデビュー戦初ゴールにも喜びは半減だった。

「ゴールできたことはよかったけど、勝利につながっていないので残念。自分の結果より、チームが勝つ結果がほしかった。それを得られず、残念。今の感情? 残念な感情しかない」。デビュー戦を引き分けで終えた柿谷は「残念」という言葉を繰り返した。

 1-1で迎えた後半14分、左サイドを駆け上がったDF槙野智章のクロスに飛び込むと、ヘディングでそらしてゴールに流し込んだ。「相手は大きい選手が多いし、普通に(クロスを)上げられても勝てない。(試合前に)槙野さんと駒野さんには『DFとGKの間に速いボールを上げてほしい』と言っていた。イメージどおりだった。自分が要求したところに来たので」。アシストの槙野に感謝しつつ、狙いどおりの一発に胸を張った。

 2分後の後半16分にはFW工藤壮人の初ゴールをアシストした。左サイドでMF高萩洋次郎から縦パスを受けると、ドリブルで中に切れ込み、DFを引き付けながら右サイドに流れて行った。「2点目を取りたかったけど、(DFが)2人寄ってきたので。シュートコースはあったけど、ボールがバウンドしていたし、工藤の方が体勢がよかったので」。冷静に柔らかいタッチでスルーパスを通し、工藤の勝ち越しゴールを導いた。

 悔やまれるのは後半19分のシーンだ。MF青山敏弘からのロングボールに反応。ドリブルで抜け出し、GKと1対1の絶好機を迎えた。ところが、トラップが大きくなり、ボールはGKにキャッチされた。決めていれば4-1とダメを押せた場面。その後、追いつかれて3-3の引き分けに終わっただけに、余計に悔しさがこみ上げた。

「決めていればというより、あそこで決めなかったのが僕の悪いところだし、勝てなかった原因。ボールが跳ねて腰に当たった。予想外と言えば予想外だったけど、もっと早いタイミングでも打てた。恥ずかしいミスだった」

 反省の言葉ばかりが口をついたが、「緊張は試合中ずっとしていた」というA代表デビュー戦ですべてがうまくいくわけではない。1ゴール1アシストという結果とともに、コンビネーションにも手応えはつかんだ。トップ下に入った高萩との連係について聞かれると、口は滑らかになった。

「早く(高萩)洋次郎に落とすことで攻撃が活性化する。一発で裏にパスを出せる選手。早く落とすことを意識した。(所属する)チーム(広島)で(佐藤)寿人さんに出すスルーパスとか、洋次郎にとってそれが一番やりやすいプレーだと思うし、僕もゴールに直結する動きを意識していた。あと2試合、また一緒に出れたら、もっと合わせていける。すごくやりやすいというか、単純にうまいなと」

 落ち込んでいる時間はない。中3日でオーストラリア戦、さらに中2日で韓国戦が待っている。ドロー発進となり、東アジア杯初優勝にいきなり暗雲が立ち込めたザックジャパン。「これを乗り越えて優勝してこそ本物だと思う。チームで2試合を乗り切って、最後に優勝カップを掲げたい」。最後は前を向き、次なる試合へ気持ちを切り替えていた。

(取材・文 西山紘平)

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