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[MOM781]東山MF鎌田大地(2年)_主将不在のチームを支える2年生エース

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.2 全国高校総体京都府予選準決勝 東山3-2久御山 太陽が丘]

 東山の福重良一監督が「今年は弱い世代」と話すのには理由がある。強烈な個性を持った選手が多く揃い、新人戦、総体の2冠を達成した昨年のチームから10人ものレギュラーが卒業。さらには唯一残った主将のMF北村明信(3年)も5月上旬に怪我でチームを離れてしまったからだ。

 ただ、チームの半数以上が下級生という若い今年のチームに、新たな強烈な個性も生まれつつある。そのひとりがこの試合でボランチに入った鎌田大地(2年)だ。足元の技術と機動力が高く、1年生だった昨年からストライカーとして期待され、途中出場で経験を積んでいた。

 新チーム結成直後も前線の基点として存在感を発揮していたが、北村の離脱とともにボランチにコンバートされた。「中盤はこれまでもやってきたけど、トップ下が多かった」と不慣れなポジションながらも、「去年から出ていたのは僕とのん君(北村)だけ。いない分、僕がしっかりしないといけないし、のん君を全国に絶対連れて行きたい」と下級生ながら高い意識を持って今大会に挑み、チームを牽引している。

 全国へあと少しまで迫ったこの日は、荒れたピッチ対策として、チームは後方からロングボールを前線に当てるスタイルを選択。福重監督が「今日は頭上を越えるスタイル。鎌田もこういうサッカーやし、イライラしたかもしれない」と心配していたが、「出来る時にやろうとしていた。ルーズボールをしっかり拾ったり、前にボールが収まった時にサポートしたりを心がけていた」と上手くチームに溶け込み、後半15分に生まれたMF田辺耀士(2年)のゴールの基点となっただけでなく、17分にはスルーパスでFW坂本泰輝(2年)をお膳立てし、チームの勝利に貢献した。

「5月以降、急激に伸びてきた。1年の時は攻撃だけの意識やったけど、守備の意識も出てきたし、ボールを持たせたら、あいつはやりよる」と指揮官も高く評価する。ただ、期待値が高いからこそ「彼は上に行ける選手やし、もっとハードワークしてもらわないと」と注文も忘れない。

 次戦の舞台である西京極は彼にとって忘れられない場所でもある。昨年11月、選手権出場を目指した京都府大会決勝で途中出場した彼は何も出来ないまま敗れて涙を飲んだ。「昨年の借りを返したい」という彼の言葉は力強い。日々、続ける成長を止めないためにまだ負けるわけにはいかない。

(取材・文 森田将義)
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