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[MOM796]市立船橋FW石田雅俊(3年)_「モノが違う」J注目エースが雪辱の4発

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.22 全国高校総体千葉県予選準決勝 八千代0-4市立船橋 東総]

「彼はあれくらい当たり前です。モノが違う」と市立船橋・朝岡隆蔵監督が絶賛するエースFW石田雅俊(3年)が八千代との強豪対決で脅威の4発。リベンジ劇の主役となった。

 高校総体予選準決勝、八千代戦。石田は昨年も同じ舞台、同じ会場、同じ相手との試合を戦い、悔しい敗戦を喫していた。チャンスに絡みながらも積極性に欠け、決定的な場面も決めることができなかった。そしてチームはPK戦の末に予選敗退。2年生エースとして信頼してくれた先輩やチームメートの期待に応えることができなかった。ただ、この日の彼は完全に姿を変えていた。

 初戦、準々決勝でやや不甲斐ないプレーをしていたこともあり、危機感すら感じていたという。その中で「メンタルトレーニングで『つぶやくといいぞ』と言っていたので」とトレーナーのことばを取り入れ、ロッカールームでも「オレはやれる」と繰り返しつぶやいた。周囲が不気味がるほどの思い入れ。「こんな思いで試合に臨んだのは初めてです。結構空回りしてしまった」という石田は、前線からの非常に献身的な守備で相手のパスワークを封じ、その決定力によってチームを全国舞台へと導いた。

「あまりボールに触れていなくて、良いプレーはできていなかった」と振り返るが、決定力は別次元だった。前半19分に右足でPK決めると、渾身のガッツポーズ。さらに後半7分にも右サイドを突いたFW横前裕大(3年)の折り返しをニアサイドで右足ダイレクトでゴールヘ沈める。止まらない石田は14分にも右オープンスペースを突いた右SB篠原良介(3年)からのラストパスを右足でゴールへと叩き込んでハットトリックを達成した。そして38分には右中間でDFを鮮やかに抜き去ると、トドメの右足シュート。大一番での4ゴールで昨年の無念、屈辱を振り払った。

 指揮官も「彼はこの試合を相当イメージしていた。1戦目、2戦目なんてホーム(試合会場が練習場でもあるグラスポ)なのに緊張して何もできなかった。でもきょうはテンションの入り方が違いましたね。もう放っておきました。彼はきのう、きょうと自分の世界に入ってやっていた。今週のトレーニングに取り組む姿勢や雰囲気も本当に良かったです。やってくれるだろうなという期待はしていました」と目を細めたエース。ゴールを決めるたびに喜びを大爆発させるなど、思いが明らかに違ったことを印象づけた。 

「去年は自分に負けていた。きょうは自分に勝てば、相手に勝てると思っていました」と石田。自分に勝って、チームも勝った。次は全国。1年時に高校選手権優勝も経験しているが、主力として臨む全国舞台は今回が初めてとなる。「あまり得点を意識すると入らなくなる。きょうもあまり点を意識していなかった」と得点王宣言は封印したが、「活躍したいです。優勝に導きたいです。みんなで勝っていきたい」。狭いスペースでも“高校生離れ”したボールタッチでボールを収めて決定的なシュートを放つなど、実力は間違いなく全国トップクラス。試合前、ある在京Jクラブのスカウトも昨年からの成長度を高く評価していた高校総体最注目FWが、夏の全国でも主役となる。

[写真]前半19分、市立船橋FW石田が先制PKを決める

(取材・文 吉田太郎)
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