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[MOM963]日章学園GK永本康造(3年)_挫折が導いた天職

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権3回戦 日章学園0-0(PK7-6)東福岡 駒場]

 PK戦は白熱を極めていた。プレッシャーのかかる中で先攻の東福岡、後攻の日章学園ともに6人目までの全員がPKを成功させた。サドンデスに突入してからも互いに譲らない。息を飲む展開が続く中で、日章学園6人目のDF岩切龍二(3年)がPKスポットに向かうと、いきなり16時ちょうどを知らせる童謡『ふるさと』が流れ出す。だがざわついたスタンドを尻目に岩切はGKの逆を突き右隅に沈める強心臓ぶりを発揮し、PK戦は7人目まで突入した。

 だがやはりヒーローになったのはGK永本康造(3年)だった。東福岡7人目で登場したMF池辺龍次朗(3年)のシュートを左に飛んでセーブ。試合中も後半28分にMF草野昂希(3年)のボレーシュートを横っ飛びで防ぐビッグセーブが見られるなど、守護神の活躍がチームを3大会ぶりの8強へと導いた。

 日章学園には中学校から在籍する永本だが、出身は福岡県。高いレベルでのプレーを望んだ当時12歳永本は、親元を離れて寮生活することを決めた。

 幸い生活にはすぐ慣れることが出来た。「みんな宮崎の人は優しかった。楽しくてあんまり寂しくなかった」。だがサッカープレーヤーとしてはすぐに壁にぶつかっていた。

 入学当時はフィールドプレーヤーとして勝負するつもりだった。しかし同ポジションの選手のレベルの高さに挫折。「小学生の時に遊び程度でやっていた」というGKへの転向を自ら申し出た。

 しかし順応性の高さはここでも発揮されていた。「決めた時も嬉しいんですけど、止めた時に相手の悔しがる顔を見たときが自分の中で楽しかった」。中学1年生で永本は天職に出会うことができた。

 永本らを擁した日章学園中は九州大会を制するなど、屈指の強豪チームへと成長していた。だが全国大会では1回戦で敗退するなど、苦い思いもしている。この日も9人の日章学園中出身選手がスタメンになを連ねたように、6年間の集大成を飾る大会。最後の全国大会は最高の思い出として残したいところだ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 児玉幸洋)

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