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[MOM964]履正社GK安川魁(2年)_初出場校を8強に導いたPKストッパー

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権3回戦 青森山田 1-1 (PK4-5)履正社 ニッパ球]

 前日の2回戦で、米子北(鳥取)にPK戦の末に勝利していた青森山田(青森)は、PK戦に絶対の自信を持っていた。ゴールを守るのは、U-18日本代表のGK田中雄大(3年)だ。その存在については、この日、逆サイドのゴールを守っていた履正社のGK安川魁(2年)も「プレーとかを意識して、リスペクトして学ばせてもらおうと思ってプレーしていました。実際に迫力もあったし、見習いたいと思います」と話す。大阪府予選で先発する機会がなかった安川は、相手GKの力が上であることを謙虚に認めた。

 だが、PKについては違った。「自信がありました」と言い切る。それは、チームメイトも同じだった。80分が終わり、PK戦までのわずかな時間で、次々と「おまえなら大丈夫だ」「行けるぞ」と、守護神に声を掛けたという。大阪府予選、準決勝、決勝では、延長戦の残り3分あたりで起用されると、PK戦での勝利に導いていた。

 本大会から安川をスタメンで起用している理由について、平野直樹監督は「GKは安川と久松(礼於)、ほとんど能力は変わらない。ビルドアップの能力などは、安川の方が上。ただ、大阪府予選は交代枠が5あって、本大会は3になる。そうなると交代枠は、なるべくFPに使いたい。だから、安川を先発で起用している。1ハンドで強いボールを弾き出せるパワーは、かなりのもの」と、PK戦での強さを要因に挙げた。

 この期待に、安川は応えた。履正社5人目のMF角野光志朗(2年)のシュートが止められ、絶体絶命の状況で、青森山田5人目のキッカーFW李相赫(3年)と対峙した。「あのときは、絶対に止めないと負けやったんで。飛ぶ方向さえ当たれば、入るボールでも触ってやろうと。3年生を泣かしたらダメだ、と思っていました」と振り返る。

 キッカーの体の向きや目線を意識して、飛ぶ方向を決めるという安川は、左に飛んだ。ボールに触ることはできなかったが、指の先でボールがポストを叩く鈍い音が聞こえた。続く6人目では、後半25分に同点ゴールを決められたFW橋本峻弥(3年)のシュートを左に飛び、右腕で枠外へ弾き飛ばした。この瞬間、選手権初出場・履正社のベスト8進出が決定した。

「憧れの全国出場、それだけでもうれしかった。でも、今は日本一を目指している」と、成長を続けるチームとともに、目標も変わっていることを口にした。そして、次もPKだったら? という質問には「次は5人で終わらせたい」と即答した。

(取材・文 河合拓)

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