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[皇后杯]ロスタイムの決勝点を導いた澤「ここで決めないと」

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[12.24 皇后杯決勝 INAC1-0千葉 NACK]

 苦しみ抜いた末にはたした皇后杯3連覇だった。リーグ戦では2位に勝ち点差「15」をつけ、独走で連覇をはたしたINAC神戸レオネッサ。しかし、皇后杯では苦戦の連続だった。準決勝の浦和レッドダイヤモンズレディース戦に続いて、1-0の辛勝。十八番のパスサッカーは封じられ、INACらしさはほとんど見られなかった。

「今回はケガ人も多いし、厳しい戦いになった。一発勝負は、どのチームにもチャンスがある」。日本や世界で数多の大会に出場してきたMF澤穂希は、トーナメント方式の恐さを振り返った。「PK戦という不安もよぎりました」。

 前半の立ち上がりはINACがジェフユナイテッド千葉レディースを圧倒したが、千葉の労を惜しまぬプレッシングと体を張ったディフェンスを前に、INACは次第に勢いを失っていった。ミスから度々ボールを失って千葉にカウンターを仕掛けられ、あわや失点という場面は一度や二度ではなかった。

 それでもINACは、最後のチャンスをものした。後半ロスタイムのCK、千葉のクリアボールはファーサイドにいた澤のところに抜けてくる。澤がダイレクトで折り返したボールは、混戦からこぼれてDF田中明日菜の足元へ。右足で思い切り振り抜いたシュートは、千葉DFのブロックも及ばず、ゴールに吸い込まれた。「(得点シーンのときは)ここで決めないと、とアスと話していて。ホントにアスが決めてくれました」。

 日テレ・ベレーザ時代からの恩師であり、今大会を最後に退任する星川敬監督については、「優勝して送りたいと思っていました。星川監督は内容に絶対納得してないと思いますけど、クリスマスプレゼントができました(笑)」と3連覇という最高の結果で花道を飾れたことに笑みをこぼしていた。

 皇后杯をもってINACの今シーズンは終了するが、明日25日には澤が発起人となっている、東日本大震災復興支援チャリティマッチ「SAWA and Friends, X’mas Night 2012」に出場する。「たくさんの方の協力があって、やらせていただけることになりました。ラモス(瑠偉)さんや(木村)和司さんと間近でプレーできますし、楽しみたいです。見ている方が勇気をもらえるようなプレーをしたいと思っています」。なでしこジャパンとヤングなでしこ、さらに男子OBチームが揃う一夜限りのドリームマッチは、25日19時に国立競技場で開催される。

(取材・文 奥山典幸)

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