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JリーグMVPの佐藤寿人 「難しい1試合目に勝てたことが良かった」

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[12.6 クラブW杯1回戦 広島1-0オークランド・シティ 横浜]

 クラブとして初の世界舞台にも臆することはなかった。「僕はサッカーで緊張したことがないんです」。そう胸を張った通り、FW佐藤寿人はいつもどおりのプレーに徹していた。MFミキッチのクロスに合わせてゴール前へ飛び込む。縦パスが入ればDFラインの裏を突く。ただ、少しだけ勝手が違った。

「パスを出す選手が、高いボールじゃないといけないとか、スルーパスでも引っかからないようにしなければならないとか、そういう意識が強すぎて、気にしすぎていたかもしれない」

 オークランド・シティの高さや足の長さを警戒するあまり、パスの出し手に少なからずためらいが見られた。点で合わせることに関してはピカ一のセンスを持つ佐藤は、チームメイトの中に生じていたほんのわずかな躊躇を敏感に感じ取っていた。

 だからこそ初戦を突破したことに価値がある。「なかなか点が入らなかった? それは想定内です。いつもなら通るパスが通らなかったりしたし、1試合目というのは難しいもの。後半はチャンスをつくれたし、勝てたことが良かった」と、次のラウンドへの挑戦権を手にしたことを喜んだ。

 1日にJリーグ最終節を終え、3日のJリーグアウォーズでMVPに輝いてから中2日。この間は移動や取材やイベントなどに追われており、この試合に向けて十分な準備ができたとは言い難い。だが、初戦を終えたことで外国勢と対戦する際の修正点がはっきりと見えたのが収穫だ。

「これから当たるチームはレベルが高くなっていく。パスが通らないという点は修正していかなければならないけど、相手が攻撃してくるようになればスペースも出てくる」

 この日はシュート2本、得点0に終わったが、世界を相手にJリーグ得点王の実力を見せるイメージはしっかり手にした。佐藤はすがすがしい表情で次の戦いを見据えた。

(取材・文 矢内由美子)

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