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[クラブW杯]チェルシーの前に立ちはだかったGKカシオ「とても意味のあるタイトル」

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[12.16 クラブW杯決勝 コリンチャンス1-0チェルシー 横浜]

 序盤から神がかり的なセービングを見せ続けた。コリンチャンスの守護神GKカシオは、前半10分にDFガリー・ケーヒルのシュートを止めたのを皮切りに、次々とチェルシーのシュートを枠外へと弾き出した。同39分にはMFビクター・モーゼスの狙いすましたシュートを指先で枠外へ弾き出し、ゴールを守った。

「相手のクオリティが高いことはわかっていたし、すべてのシュートが危険だった」。そう振り返るカシオは、ゴールを守れたのは「DFと良い連係を取ることができていたから」と、チームメイトたちに感謝の言葉を送った。

 チェルシー有利という下馬評の中、勝利できた要因の一つに、サポーターの存在を挙げた。「本当に多くのサポーターが駆けつけてくれて、ホームのような雰囲気をつくってくれたね。(コリンチャンスのホームスタジアムである)パカエンブのようだった? そうだね。でも、パカエンブよりは少しおとなしかったかな。でも、声援は本当に後押しになったよ」

 ここまで欧州勢が大会5連覇を達成していた。6連覇を阻止した守護神は、ブラジルのクラブには変化が起きていると語る。「このタイトルを取れたことは本当に重要だ。これまでヨーロッパでしかプレーしていなかった選手たちも、ブラジルに戻ってプレーするようになってきている。また、(サントスのFW)ネイマールのように南米でプレーを続ける若手の有望選手も徐々に出てきた。そういう選手たちが『今後もブラジルでプレーしたい』と思える、とても意味のあるタイトルだったと思う」

 クラブを優勝に導いたカシオは、大会MVPにあたるゴールデンボールに選ばれた。GKとしては、05年にサンパウロを優勝に導いたGKロジェリオ・セニに続く受賞だ。「この喜びを誰よりも母に伝えたい」と、カシオは言う。

「子供の頃から、夢に見ていたタイトルを取れた。それだけじゃなくゴールデンボールも獲得できて、とてもうれしいよ。どちらのタイトルも、僕のキャリアにとって本当に重要なものだ。僕は幼いころに父を亡くし、母に育ててもらった。今の自分があるのも、母のおかげなんだ」。最後まで欧州王者の前に立ちはだかった194センチの守護神は、優勝メダルを下げた胸を張り、笑顔を見せた。

(取材・文 河合拓)

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