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[MOM198]阪南大MF窪田良(3年)_新王者の攻守の要

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2012年度第36回総理大臣杯全日本大学トーナメント
[7.16 総理大臣杯決勝 阪南大3-1専修大 長居]

 攻守の要がタイトルを手繰り寄せた。第36回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント決勝戦、阪南大は3-1でインカレ王者の専修大学を破り、11年ぶり2度目の優勝を飾った。際立ったのは、圧倒的な攻撃力を誇る専修大を相手に最少失点で耐え抜いた守備と、ドリブルによる速攻だった。その攻守のつなぎに、いつもボランチ窪田良(3年=東京Vユース)の活躍があった。両チームがそれぞれに持ち味を発揮した一戦となっただけに、どちらにとっても理想的な戦いではなかった。窪田は「その中で勝ち切れたのは強みだと思う」と勝利の手ごたえを話した。

 攻撃面では、2アシストの活躍を見せた。前半終了間際、右サイドで得たFKから須佐徹太郎監督が「最高のボール」と称えた絶妙のフィードでDF朴賛友(2年=コヤンFC)のヘディング弾を演出。後半には速攻の場面でよく走り、敵陣まで押し上げて攻撃陣をサポート。途中出場のFW河田篤秀(2年=阪南大高)が左サイドで仕掛けた後のこぼれ球を拾い、MF可児壮隆(3年=川崎F U-18)につなげて決勝点もアシストした。守備面でも、最終ラインに近い位置まで下がってのカバーやブロックを含め、相手の攻撃をよく寸断した。序盤から大きな声でチームを鼓舞し続けた統率力も目立った。

 窪田は「ボールを奪ってから押し上げて行く攻撃は僕の持ち味なので、何度か出せたのは良かったと思う」と控えめに喜ぶだけだったが、決勝点を挙げた可児は「1回戦からずっと良に助けられている。僕たちがバテてきても頑張ってくれるし、今日も結果的に良のパスで決められたので感謝している」と後半も走力で相手に走り勝った窪田を称えた。

 窪田本人は「今日はダメだったと思います。相手のボランチの下田(北斗)君が同じレフティーで背番号も同じなので意識していたけど、相手の方が良いプレーをしていた。もっと前で相手の攻撃を止めるようにしたかったし、決勝戦の緊張感もあって前半はうまく動けなかった。今日はアシストをしただけという感じ」と、あくまでも試合の主導権を握り続けるサッカーで押しきれなかった反省点を強調したが、その意識は高い目標の裏返しでもある。

 現在は3年生。進路を考える時期を迎え「Jリーグに行きたい」とプロを志望する。だからこそ「うまいボランチは沢山いると思うから、僕は点を取ったり、試合を決められるボランチになりたい。だから、背番号に合わせて今季はリーグ戦で8得点を目指しているんですけど、まだ1点しか取れていない」と新たな挑戦を見据えて自分に課題を突き付けている。そんな姿もチームメートの刺激になっているようだ。

 主将の飯尾竜太朗(4年=神戸U-18)は「自分がキャプテンをやっていますけど、攻守の要は(窪田)良。あいつが、チームの軸。今日は中盤が強い相手を中盤で抑えてくれた。よく頑張ってくれたし、これからもあいつは、チームの要」と窪田の活躍に賛辞を惜しまなかった。最後まで走り抜き、2アシストでタイトルを手繰り寄せた左利きのボランチは、まだ成長途中。優勝に立ち止まることなく、さらなる高みを目指す。

(取材・文 平野貴也)
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