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[MOM_199]順天堂大MF原田開(3年)_元Jリーガー、長期離脱から鮮烈な復活劇

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.15 関東大学1部第12節 中央大1-2順天堂大 味フィ西]

 インパクト十分な復活劇だった。順天堂大のMF原田開(3年=磐田ユース)はかつて湘南ベルマーレに2シーズン在籍していた元Jリーガー。10代半ばまでは年代別日本代表の常連で、昨年はチームトップタイの8ゴールを記録している関東大学選抜の注目MFだ。ただ、今季は開幕戦後にオーバートレーニング症候群によって離脱。1年時にも発症している原田は長期離脱を強いられた。ただ、復帰戦となったこの日は交代出場で1得点1アシストの大活躍。押し込まれてほとんどボールを触ることのない展開の中、元Jリーガーが大仕事をしてのけた。

 ピッチに投入されたのは0-1の後半19分。久々に立つ公式戦のピッチだったが「0-1で負けていたので昂ぶるという感覚はなくて冷静だった。0-0だったオレが決めてやろうと思っていただろうけど、追いつくことしか考えていなかった」。なかなか持ち味のスピードを発揮する場面は訪れなかったが、1チャンスを活かしてチームに歓喜をもたらした。

 後半29分、右サイドのMF天野純(3年=横浜FMユース)からのラストパスに反応すると、相手SBを振りきってGKとの1対1に。「コースを見てファーを狙った」とこの局面を制して右足シュートをゴールへ流し込んだ。原田は渾身のガッツポーズ。順大の控え選手たちはタッチラインギリギリの位置で駆け寄ってくる原田を迎え入れると、歓喜の輪に次々とイレブンが飛び込んできた。

 白いユニフォームの興奮の度合いはかなりのものだったが、他の選手のゴールであればここまでの光景にはならなかっただろう。原田は「(オーバートレーニング症候群が辛かったのではなく)サッカーができないことが辛かった。みんなオレの気持ちを分かってくれているし、見ててくれている。(1ゴール1アシストは)十分すぎます」。サッカーができない時期を乗り越えた22歳の大学3年生の苦しみを知る仲間たちは、自分のことのように原田のゴールを喜んだ。

 そして後半ロスタイムの決勝ゴールも背番号11のビッグプレーから生まれた。左中間でボールを受けると、大宮入り内定の右SB今井智基とのスピード勝負ではなく、疲労の見える相手CBをあえて狙って完全に抜き去る。CBが攻略されたことで中央大のディフェエンスラインは崩壊。原田はカバーリングに来た相手左SBの逆を突いてスルーパスを出すと、天野が右足でゴールへ流し込んだ。

 休養期間が長かったため、コンディションはまだ完ぺきではない。もう一段回キレが増すのはこれからになる。スピード勝負をするアタッカーの、警戒されていても抜き去る術、そして得点力、チャンスメーク能力にも注目だ。目標は順大で成長した姿でもう一度プロへ進むこと。「プロを目指す上でもう休んでいられない」。復活した男はチームのために、そして自分のために結果を出す。

(取材・文 吉田太郎)
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