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[MOM207]早稲田大FW富山貴光(4年)_大宮入団のストライカーが卒業前の“一仕事”を誓う

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[12.19 大学選手権1回戦 早稲田大 3-0 徳山大 荻野]

 じわじわと存在感を強め、勝負所できっちりと仕事を果たした。徳山大学との1回戦、早稲田大学のエース富山貴光(4年=矢板中央高、大宮アルディージャ入団内定)はチームの2点目を挙げて勝利に貢献した。

 前半はドリブルで抜ききれずにボールを失う場面が目立ったが、積極的な守備でチームを支えた。本領を発揮したのは、芝の感触や試合の雰囲気に慣れた後半だった。最前線で前後に動いて相手を揺さぶった。相手DFの前に入り込んで縦パスを受け、攻撃の起点となる場面が増加。当然、起点を作った後の仕事はフィニッシュだ。

 1点リードで迎えた後半21分、右DF奥山政幸のクロスを頭で合わせたが、ゴール左にそれた。しかし、その1分後に再び奥山がクロスを送ると、今度はきっちりとヘディングシュートをたたき込んだ。夏に右足首を負傷し、いまだ回復途中だという富山だが「1発目はニアサイドからそのまま合わせる形だったけど、2発目は中央からニアに入って行った。いつもなら触れないようなボールだったけど、コンディションが上がってきていてジャンプが結構飛べたので、空中でしっかりと合わせられた」と持ち味を生かした2点目の好感触に思わず笑顔を見せた。

 矢板中央高校時代から仙台の特別指定選手となるなど、その高い身体能力は評価されてきた。身長180cmと体が大きく、スピードがあり、運動量も豊富だ。2010年にはU-21日本代表としてアジア大会も経験。昨年は大学選抜の一員としてユニバーシアード優勝を果たした。

 早稲田大卒業後は、大宮への入団が内定している。順風満帆なサッカー人生に見えるが、富山にはプロ入り前に獲得しておきたいタイトルがある。「今年は、関東リーグも総理大臣杯も優勝を目指してやってきたけど負けてしまった。リーグ戦は優勝をかけた(上位直接対決の)試合で負けたし、ここまで不甲斐ないシーズンを送っている。自分自身もチームに申し訳ないという気持ちが強い。その分、インカレ(全日本大学サッカー選手権の通称)にかける気持ちは人一倍強い。これまで日本一になるためにやってきた。自分自身、まだ日本一になったことがない。ここで日本一になることで、プロ入り後の人生も変わってくるのではないかと思う。集大成を見せたい」と初の全国制覇へ意気込んだ。

 早稲田大のインカレ出場は4年ぶり。すべてのメンバーが初めて臨む大会だ。「雰囲気も分からなかったけど、初戦を突破できて嬉しい」と話した大物ストライカーは、この日の一発をあいさつ代わりにしか思っていない。ようやくたどり着いた大舞台でまだまだ暴れ回るつもりだ。

(取材・文 平野貴也)

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