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[MOM208]札幌大FW酒井遼太郎(3年)_千葉出身、第2の故郷で活躍するFWが快進撃を支える

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.19 大学選手権1回戦 札幌大3-2(延長)浜松大 荻野]

 全日本大学サッカー選手権の1回戦、札幌大のFW酒井遼太郎(3年=帯広北高)は2得点でチームの勝利に貢献した。延長戦の末に浜松大を下した。酒井は「点を取るキャラじゃないんですけどね。チャンスメーク型なので、ゴールもあまり実感がなかったんですけど、嬉しかったです」と笑顔をこぼした。1点ビハインドの後半4分、前方に出てきた相手GKのキックミスでボールを奪取。「枠に飛ばせば大丈夫という状況だったので、落ち着くことだけを意識して蹴った」というミドルシュートを無人のゴールへ決めてみせた。2点目は同39分、相手GKのパスをカットしたMF西村啓(4年=北海高)の横パスを受けて、今度は近距離から冷静に流し込んだ。

 浜松大にボールを支配される時間の長い、厳しい試合。2得点は大きな成果だ。しかし、本人も認めたとおり元々の持ち味は、得点ばかりではない。札幌大の熊谷大喜コーチは「点を取るのは、いつも(ツートップの相方の)黒田亮介の方なんです。酒井は守備のスイッチを入れられる選手」と笑った。しかし、その守備こそ最大の勝因だった。浜松大優位の試合で札幌大に手ごたえがあったのは、自陣に守備ブロックを築いてからのプレッシング。酒井は前線で何度も相手ボールを奪い、逆襲の起点となっていた。酒井は「普段はああいう形の守備じゃない。どこからというのではなく、相手がボールを持ったらコースを切っていく。でも選手同士で話し合って、パス回しがうまい浜松大を相手に前から取りに行っても中盤でかわされてしまうだろうということで、この形にした。序盤から何度か取れたので、1本か2本はチャンスがあると思った。そのときに集中して決めようと思っていた」とカウンターの機会をうかがっていたことを明かした。

 酒井は、千葉県の出身。帯広北高校進学をきっかけに北海道へ移った。縁あって札幌大に進学。思わぬ長期滞在により、北の大地は第2の故郷となった。すっかり道産子軍団の一員となった酒井は「会場に来られない仲間も北海道からメールを送ってくれて応援してくれているから、気持ちも高まる。準々決勝で対戦する早稲田とは頭の差がありますけど、スポーツまで負けられない。藤山(和夫)監督もそう言っていたので、頑張ります」と次戦に向けた抱負を語った。まず、相手からボールを奪う。打倒早稲田の急先鋒は、この男しかいない。

(取材・文 平野貴也)

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