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悪い流れ断ち切る大きな1勝、2位・早稲田大が上位対決制す!:関東1部

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[9.11 関東大学リーグ1部第11節 早稲田大2-1中央大 西が丘]

 第87回関東大学リーグ1部は11日、第11節を行い、2位・早稲田大と5位・中央大との上位対決はMF竹谷昂祐(4年=G大阪ユース)の決勝ゴールによって2-1で早大が制した。

「ここ最近、総理杯で負けて、天皇杯で負けて、(今夏は)韓国遠征へ行ったんですけど、そこでも負けて、(前節)専修にも負けていて、連敗が続いていたので、何としても悪い流れを断ち切りたかったですし、これ以上専修に差を広げられたらヤバイという気持ちをチーム全員が持っていた。その中で苦しい展開でしたけれど勝てたことは心の底から嬉しかったですね」。試合終盤まで運動量を落とさず相手の中盤にプレッシャーをかけ続けたMF中田航平主将(4年=横浜FMユース)がそう説明していたが、結果が出ずに苦しんでいた名門・早大が接戦を勝利。試合終了のホイッスルが鳴り響くと、エンジのユニフォームは一瞬気が抜けたようにピッチヘ倒れこんだが、すぐさまハイタッチと抱擁を繰り返して勝利を喜び合っていた。

 昨年度の全日本大学選手権(インカレ)を制して最多の優勝回数を12へ伸ばした早大だが、関東リーグでは96年度を最後に優勝できていない。「リーグの方が常に強かったチームとして讃えられると思う。何としても取りたいというのは監督も選手も口々にしているところなので今年勝ち取りたいと思います」と中田が言うように、名門はインカレ連覇以上に関東奪還へ力を注いで目標達成を目指している。

 首位・専修大との勝ち点差は前節敗れたことで5へと広がっていた。もう勝ち点を落とすことはできない。ただ序盤は中大が攻めこむ。サンフレッチェ広島内定の全日本大学選抜FW皆川佑介(4年=前橋育英高)が前線で身体を張ってボールを収め、またMF渋谷亮(3年=東京Vユース)がわずかに開いたスペースでボールを引き出すなどサイドの高い位置までボールを動かすと、そこからFW砂川優太郎(3年=広島ユース)やFW澤田崇(4年=大津高)の個人技、連動性のある攻撃で崩してくる。前半13分には砂川の左クロスにファーサイドから飛び込んできた右SB古賀鯨太朗(4年=大津高)が決定的な右足シュート。31分には砂川の右クロスから澤田の放った一撃がゴール左ポストを叩く。

 一方の早大は自陣に押し込まれる時間帯が長かったが、ボールを奪うとカウンターから確実にPA近くまでボールを運んでくる。15分には右CKからポストを叩くシュートが生まれ、27分には中田が自陣から判断良く放った超ロングシュートがゴールを襲う。またエースFW榎本大希(4年=横浜FMユース)の推進力あるドリブルや前線でボールを収めるFW宮本拓弥(2年=流通経済大柏高)を起点に攻め返した。

 そして41分だ。早大は中田が左オープンスペースへボールを入れると、湘南ベルマーレ内定の左SB三竿雄斗(4年=東京Vユース)がオーバーラップから左足でクロス。PAで待ち構える榎本の元へ完ぺきなタイミングで入ったボールを背番号10・榎本が上手く身体を使いながら頭で撃ちぬくと、先制ゴールが突き刺さった。ただし、直後の42分、中大はMF細見諒主将(4年=C大阪U-18)が右サイドへ展開すると、砂川がタッチライン際の位置から逆サイドへクロスボール。中大のエース皆川が早大DF陣の上方から頭でゴールへ叩き込み同点に追いついた。

 後半は出足のいい早大がゴールへ迫る。3分、敵陣でインターセプトした榎本がドリブルで持ち込み左ポスト直撃の右足シュート。8分に攻撃参加したCB奥山政幸(2年=名古屋U18)の右クロスを宮本がゴールへ押し込んだシーンはファウルの判定でノーゴールとなったが、前半終わり際から存在感を発揮しだした三竿の攻撃参加や榎本の高速ドリブルが中大を苦しめる。そして中盤では中田やMF池西希(4年=浦和ユース)が厳しいプレス。対する中大は砂川と澤田がドリブルでPAへ潜り込み、古賀と大宮アルディージャ内定の左SB高瀬優孝(4年=埼玉栄高)の両SBがクロスまで持ち込んでいたが、早大は奥山、CB金沢拓真(2年=横浜FMユース)が最終局面で身体を張って得点を許さない。

 迎えた終盤、早大は29分に榎本の強烈な右足シュートがゴールを捉えるが中大GKシュミット・ダニエル(4年=東北学院高)が好反応でストップ。それでも38分、早大は敵陣で相手のクリアミスを拾ってから右サイドへ展開すると、SB八角大智(2年=流通経済大柏高)がグラウンダーで斜めにボールを入れる。右サイドをえぐった榎本の折り返しを受けた竹谷が右足で逆サイドのゴールネットへねじ込んだ。

「(優勝へ向けて)あとがないと思っていた。何が何でも勝とうと思っていた」という竹谷の決勝弾。中田が「昨年とか2年前とかも強いチームに対して防戦一方という試合が続いている中で、(今年も)専修には負けてしまったんですけど、後半残り15分、20分と攻め込んだシーンが多かった。きょうの中大戦もいつもだったら押し込まれて…という状況だったんですけど、徐々に自分たちのペースに持ち込めている。(守備の強みを活かし、攻撃面でも)よりワセダのサッカーを体現できている。今年は今までの4年間で一番ワセダらしさが出せているのかなと思っています」と手応えを口にする早大が、逆転Vへ勝ち点3をもぎ取った。

(取材・文 吉田太郎)
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