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[MOM255]中央大FW皆川佑介(4年)_大怪我乗り越えた広島入りFW「一回りも二回りも変わった」こと示すプレーと気迫

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.5 関東大学リーグ1部第15節 中央大6-1慶應義塾大 古河]

 長期離脱した以前よりも強い気持ち、プレーで戦っている。中央大の全日本大学選抜FW皆川佑介(4年=前橋育英高)は8月にサンフレッチェ広島内定が発表された186cmの大型ストライカー。昨年9月に負った前十字靭帯断裂の大怪我により長期離脱を強いられたものの、今夏復帰を果たしたFWが不在だった期間の分の思いも込めて前線で躍動している。

 この日は1-0の前半20分にFW澤田崇からのラストパスを右足で決めて3試合ぶりのゴール。「中大のサイドからの攻撃で相手は崩れていた。最後相手がボールウォッチャーになっていたところをサワ(澤田)がよく見ていてくれた」と仲間に感謝のゴールでチームを勢いづけた。また、前線でターゲット役を務める皆川には慶應義塾大DFが厳しい当たりを見せていたが、「自分は身体を張ることしかできない。きょうは相手のファウルを誘うこともできたし、自分がボールを持つことによって、DFが寄ってきてくれてDFがどこかしら開くだろうと思っていた。自分も味方につなげて簡単に攻められればバリエーションも広がる」と皆川は全身で踏ん張ってボールを渡さない。正確な技術で簡単にボールを捌いて攻撃を活性化しつつ、雨による重馬場のピッチの中で身体を張り、何度もFKを獲得して流れを守った。

 そしてチームは今季最多の6ゴール大勝。まだ状態は100パーセントではなく、モヤモヤ感は「相当あります」と言う。ただ「ここでケガしても意味ないですし、勝利に貢献することが第一ですけど、練習で100パーセントに近づける取り組みだったり、あとは結果を出していきたいです」と前を向いた。

 懸命に行ってきたリハビリの中で持った決意と逞しさがある。「(大怪我によってプロ入りは)正直無理だと思っていました。みんながキャンプに行っていた中で、自分は『まずケガを直さなきゃ』というのがあった。でも、プロのことを考えるよりもまずは自分の身体を直して、怪我する前よりも『アイツ、一回りも二回りも変わったな』と思ってもらえるような努力はしていた」。きっかけとなった言葉がある。「リハビリの時に(元日本代表で現タンパベイの)山田卓也さんがいたんですけど、ちょうど一緒にリハビリしていて。『戻った時に今までと一緒じゃ、コイツはケガしたと見られる。コイツ、何か変わったなというくらいの思いでもプレーでも見せることができれば、オマエがやってきた蓄積は間違いないから』ということを言われた」。そのことばは苦しいリハビリを乗り越える支えとなり、自分が変わったところを示すための刺激となった。

 現在の目標は全日本大学選手権(インカレ)。「インカレ出場を目標にして、自分のコンディションも上げつつ、正直自分が100にならなくても周りの力はやれると思う。自分はその中でもサポートしつつできるようになればいい」と“主役”になれなくてもチームの勝利のために戦うつもりでいる。「インカレに掛ける思いも人一倍強い」というFWがケガで苦しんだ一年間の思いもぶつけて中大を日本一へ導く。 
 
(取材・文 吉田太郎)
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