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[MOM273]愛知学院大FW安東大介(4年)_福岡大DF陣との駆け引きを制し、決勝PKを奪取

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[12.15 全日本大学選手権1回戦 福岡大1-2愛知学院大 味スタ西]

 試合の流れは、前回準優勝の福岡大に傾きかけていた。後半39分、それまで1点をリードしていた愛知学院大だったが、FW薗田卓馬(2年=鹿児島城西高)に同点ゴールを許してしまった。しかも、ゴールを挙げた薗田、アシストのMF山道淳司(2年=東海大五高)、ヘディングで競り勝ったFW加部未蘭(1年=山梨学院大附高)と、途中出場した3選手、全員が絡んでの一撃である。

 一気呵成に出る相手に対し、愛知学院大には不安もあった。前線でパスワークの中心となり、先制点も挙げていたMF西中寿明(3年=東邦高)を、「運動量が落ちてきていた」という境田雅章監督の判断で、ベンチに下げていたからだ。交代出場していたFW知念慶(1年=知念高)は、精力的にプレッシングをかけていたが、キャプテンのMF鈴木貴也(4年=磐田ユース)は、前線でボールを保持できなくなった要因のひとつに西中の交代があることを認め、「同点にされたときは正直、焦りました」と吐露した。だが、同時に「相手が前に人数を掛けていたので、カウンターも狙えると思っていました」と、勝機も見出していた。それは、他のチームメイトたちも同じだった。

 同点ゴールから、わずか3分後。西中が頭に描いていたプレーを実践したのが、FW安東大介(4年=藤枝明誠)だった。4-2-3-1の1トップに入り、前半から福岡大の屈強な2CBと体をぶつけ合っていたストライカーは、「相手も引き気味で、CBもかなり激しく来ていました。そこで負けない自信もありましたが、自分がキープできないときは裏に抜ける動きと使い分けることも考えていました。僕も足は速くないのですが、今日のCBは裏を狙われるとイヤだったと思うので」と、チャンスをうかがっていたことを明かす。

「足は速くない」。そう自認する安東が、なぜ裏を取れると感じていたのか。それはMF水谷侑輝(2年=暁高)との連係に、絶対的な自信があったからだ。前半から切れ味鋭いドリブルでチャンスをつくってきた水谷は、カウンターを警戒する福岡大にとって最も危険な存在だった。

「大学サッカーでは、サイドで起点をつくれないと話にならない。でも、水谷は前半から左サイドで起点をつくってくれていました。PKを取った場面は、(水谷が)ボールを持ったら相手は引っ張られると思っていましたし、水谷につられて裏が空きました。そこの動き出しは意識していましたし、1年を通して彼と(呼吸を)合わせてきたので」

 抜け出した安東は、自らフィニッシュに持って行こうとしたが、ボールに触った次の瞬間に、GK藤嶋と接触してPA内で倒れた。「腕が顔にガッツリ入りました。そこから、しばらく記憶がないんです」と苦笑する。このPKを鈴木が決め、愛知学院大は初戦を突破した。

 8年ぶりの出場で、前回準優勝チームに勝利。それでも「まだまだ」と、安東は繰り返す。「まだまだ自分の中ではミスも多いし、まだまだもっとやらないと」。18日の2回戦では、総理大臣杯優勝の流通経済大と対戦するが、安東はまだまだ先を見ているはずだ。

(取材・文 河合拓)

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