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[MOM276]国士舘大MF進藤誠司(3年)_国士大の必殺仕事人

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 大学選手権2回戦 阪南大1-3国士舘大 西が丘]

 刃のような鋭いドリブルで敵陣を切り裂く、国士舘大の必殺仕事人だ。プロ内定5人衆を擁する阪南大を相手に国士舘大MF進藤誠司(3年=流通経済大柏高)は先制PK獲得、1ゴール、1アシストと大車輪の活躍を見せ、タレント軍団を切り捨てた。「相手にプロに行く選手がたくさんいる中で勝てたことは大きかった。自分もプロに行くことしか考えていない。前評判の高い選手と対戦すると、自分もこれぐらいできるぞ! と見せたい気持ちになる。守備で相手をしっかりと押さえて自分が活躍するイメージを持っていた」と胸に秘めていた個人としての対抗意識をしっかりと結果に結び付けた。

 最初の仕事は、PK獲得だった。立ち上がりから阪南大ペースで進む中、32分に敵陣左サイドのPA角付近でFW平松宗からパスを受けると、ドリブルを仕掛けて相手のファウルを誘った。MF橋本拓門が蹴ったPKは一度弾かれたが、進藤がすかさずプッシュ。この場面はPKのやり直しとなり、橋本が2度目のキックで得点を挙げたが、攻撃面での進藤の貢献度の高さが見られたシーンだった。

 2つ目の仕事は、カウンターアタックからのゴール。21分、自陣右サイドからのロングパスに対し、相手の隙を逃さずに最終ライン裏を急襲した。ハイボールの目測を誤ったマーカーの背後でパスを受けると、すかさずカットイン。正面に戻って来たマーカーを振り切り、勢い余って前のめりになりながらも強烈なミートで貴重な追加点をたたき込んだ。「あの角度は練習している。体が小さいので、大きい選手と当たっても倒れずにシュートを打ちきれとコーチから言われている。日ごろの成果が出て非常に嬉しい。コースを狙うというよりは、思い切り打とうと思った」という豪快な一撃が決まったことを確認すると、側転、バック宙のパフォーマンスで歓喜を爆発させた。この一発で試合の勝敗はほぼ決した。

 しかし、国士舘大の細田三二監督が「守備をちょっとサボる癖がある。それに今日はボールを奪われる場面も多かった。だから代えたくなるのだけど、彼は1試合で1、2度はビッグな仕事をしてくる。だから、何か期待してしまうところがある」と評する仕事人は、まだ仕事が残っているとばかりに3つ目のゴールにも絡んだ。26分、左のハイサイドで縦パスを受けると、冷静にゴール前でフリーになった平松を見つけて丁寧なグラウンダーのパスでアシスト。平松との連係は、最初のPK奪取でも見られた。「私生活から仲が良く、意思が通じ合っているので、互いのプレーが分かる」という絶妙なコンビネーションでダメ押し点を演出した。

 この日は、2試合目でプロ注目のMF椎名伸志を擁する流通経済大が試合を行うこともあり、試合会場には多くのプロクラブ関係者が顔を見せた。「オレもいるぞ」と言わんばかりのアピールは、効果があったに違いない。勝ち上がれば勝ち上がるほど、注目は集まる。「たくさんのスカウトの方たちが来ていたと思う。もちろん、相手チームの選手を見に来ているのだとは思うけど、長友(佑都=インテル)選手のように、どこで誰が見てくれているか分からないので、良い舞台をもらえている。チームの勝利が一番大事だけど、その中で自分の色を出せたのは良かった」とプロ入りを強烈に意識する進藤にとって、優勝への道のりは、そのまま夢へ近付く道のりでもある。

 何より、進藤はまだ日本一のタイトルを手にしたことがない。日曜日には、母校の流経大柏高が高円宮杯チャンピオンシップを制して日本一に輝いた。「後輩たちに良い刺激を受けて、自分も優勝してやろうと思っている」とタイトル奪取に意欲を見せた。国士舘大の必殺仕事人、進藤誠司。彼がインカレで果たすべき大仕事が何なのかは、明白だ。

[写真]後半21分、国士舘大MF進藤が2点目のゴール

(取材・文 平野貴也)
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