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[MOM281]大阪体育大FW澤上竜二(2年)_もうひとりの“関西の怪物”、こちらも3発発進!

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 大学選手権2回戦 大阪体育大4-1新潟経営大 夢の島]

 ライバルに負けじと、もうひとりの“関西の怪物”が3発発進だ。大阪体育大で1年生から10番を背負う全日本大学選抜FW澤上竜二(2年=飛龍高)は今季、関西リーグ1部で22得点を叩き出して大体大の24年ぶりとなるリーグ優勝に貢献。自身も関西1部年間最優秀選手賞(関西サッカー協会会長杯)に選出された。

 181cm、76kgの恵まれた身体を持つ注目ストライカーはこの日、前半こそ新潟経営大の厳しいマークの中で決定機を活かせずにいたが、後半8分にMF山本大稀の左FKを頭で合わせて同点ゴール。「自分はあまりヘディングで点取らないので決められて良かったです」という一撃で波に乗ると、15分には縦パスからの絶妙なコントロールと当たり負けしない強さで抜けだして左足を振りぬく。これはGKに阻まれたものの、こぼれ球を左サイドのゴールライン際、角度のない位置から左足でゴール右隅へと流し込んで2点目のゴールを決めた。

 そしてハットトリック達成となる3ゴール目は35分に生まれた。鋭いターンからPAへボールを運んだ澤上は細かいフェイントでDFとの駆け引きを制して左足シュート。この日は高校時代の恩師である飛龍高(静岡)の菊川達也監督が会場に訪れていたが、その前で3ゴール目を決めた。菊川氏は「上手くなっていますよ。3点目のシーンなんてあんなフェイントからのシュートは持ってなかった」と驚きの表情。高校時代からJクラブの練習参加をするなど注目を集めていた澤上だったが、大学で恩師を驚かせるような成長を遂げている。

 この活躍の要因にはライバルの存在も大きい。澤上と同じ2年生で、関西からともに全日本大学選抜に選出された関西学院大FW呉屋大翔だ。今季のリーグ得点王争いでは澤上の22得点に対し、呉屋は24ゴールで得点王。その呉屋が今大会1回戦の広島修道大戦で3得点を挙げていたため、澤上も初戦でのハットトリックを狙っていたという。「初戦で呉屋も3点取ったので、3点取りたい気持ちで入っていた。前半で取れなかったので結構焦っていたんですけど、1点目取れたのでそのまま勢いでいきました」。

 動き出しの速さと動き出しの回数でDFを攻略してゴールを量産する呉屋はその得点力の高さから“関西の怪物”とも呼ばれる。澤上は「練習中とかにみんなにそれ言われるんですよ。外すとみんなに『それ、呉屋やったら決めてる』とか言われるんで。負けたくないです」と呉屋に対して強いライバル意識を抱いている。2年生ながら圧倒的な存在感で関西1部MVPに輝いた澤上も呉屋同様“関西の怪物”と言える存在だが、今大会の目標は「得点王を狙いたいです。関西で(呉屋に)負けているので。呉屋は誰かが打った後のこぼれ球を拾ったりするのが上手い。自分にはそういうのがないので貪欲に狙いたい」と呉屋に勝利しての得点王にこだわっている。

 フィジカルコンタクトの強さ、左足のパワーショットには定評があるが、それだけに満足することなくヘディングシュートや右足でのシュートも磨いてきた。そして初戦では得意ではなかった頭での得点に加え、ゴール前へ鋭く飛び込む動きなど、ゴールバリエーションが増えてきていることも印象づけている。それだけに、準々決勝以降の爆発への期待は大きい。

 今大会、1回戦からスタートした呉屋に対し、澤上は2回戦からの登場だったため試合数のハンディキャップはある。2回戦を終えて澤上の3ゴールに対し、呉屋は4ゴールと1点ビハインド。もちろん、呉屋以外にも得点王候補たちは多数いる。それでも「総理大臣杯で2回戦(準々決勝)で明治に0-5で負けていて、そこから関西はもちろんですけど全国で活躍することを意識してやってきた。全国で活躍しなければ意味は無い」と高い意識を持ってトレーニングしてきたFWが今回はゴールでチームにひとつでも多くの白星をもたらし、ライバルたちに勝って得点王も掴む。

[写真]後半35分、大阪体育大FW澤上がハットトリックとなる3点目のゴール
 
(取材・文 吉田太郎)
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