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[MOM284]鹿屋体育大MF福田晃斗(3年)_鳥栖特別指定選手が試合決めるビッグプレー

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.20 全日本大学選手権準々決勝 鹿屋体育大3-1関西学院大 麻溝]

 試合を決める2つのビッグプレーだった。相手の運動量低下に伴い、それまでの速攻中心から遅攻へ切り替えていた鹿屋体育大は後半40分、右中間でボールを持ったMF福田晃斗(3年=四日市中央工業高)がドリブルでいきなりテンポを上げる。「飛び出していけば、相手はついてこないと(スタッフの)分析で出ていたので、(実際に)2列目のあそこから飛び出していったらついてこなくて、上手く点を獲ることができた」と福田。スピードに乗ったままタッチライン際の右SB粕川正樹とのワンツーを通した福田は一気に右サイドを切れ込むと、中央へラストパスを送る。これをMF福森健太が右足ダイレクトで合わせて勝ち越しゴールとなった。

 相手の守備ブロックが前に立ちはだかり、ほぼゴールの予感のない位置からスタートした攻撃で相手の守備を打開し、勝ち越しゴールをアシストした。このビッグプレーで2-1とした福田はさらに45分にもMF中原優生とのパス交換で右サイドを飛び出すとラストパス。これを交代出場のFW湯浅寿紀が左足ダイレクトでゴールへ沈めて3-1となった。

 昨年度も鹿屋体育大の全日本大学選手権4強に貢献している福田は九州を代表するMFのひとりだが、この日は納得の行くプレーができていなかったという。中盤で相手に主導権を握られ、チームの“エンジン”と評される中原とのダブルボランチが機能しなかった。「どうしよう、どうしようと思っていて、日光も(強く)照らされてきて目もボヤボヤしてきているし(苦笑)、良いプレーもできないし、と思っていた」と振り返る。ただ勝負どころで見せた自慢の走力。「あの終盤でも走れるのは自分の強みだと思う。技術的には他よりも劣っているので、ハードワークでは負けてはいけない。ハードワークでは勝たないといけないという強みを出せたと思います」と相手の隙を見逃さない判断力と、終盤の体力的に厳しい時間帯で差をつけた走力、そしてラストパスを2本続けて通した技術で奪った2アシストを喜んだ。

 今年はサガン鳥栖の特別指定選手としてJ1で2試合に出場した。九州の大学リーグでは多少雑でもできていたことがプロの世界では通用しなかった。また10月の清水戦では先発に抜擢されたものの、ミスがチームの失点に直結。「エスパ戦で失敗して1点取られたということが印象に残っている。ひとつのミスでひとつの失点になって、ひとつの失敗でチャンスになる。プロの世界では一つひとつが大事になってくる」ことを学んだ。ひとつのミスで試合を決められてしまうが、同時にひとつのプレーで勝利をもたらすことだってできる。この日は最後まで相手の隙を狙い続けて、ひとつのプレーで勝利を引き寄せた。

 本人は中盤を支配できなかったことをとても悔やんでいたが、鋭い読みと意図的に相手にパスを出させてから奪う上手さでインターセプトを繰り返していたほか、逆サイドへのサイドチェンジを正確に通すなどやはり存在感を放っていた。ただ、もっとできることも間違いない。準決勝ではひとつのプレーだけでなく、“エンジン”が90分間ハイレベルな動きを続けることが初の決勝進出へのカギとなる。
  
(取材・文 吉田太郎)
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