beacon

ラストマッチで前半途中交代も、喜ぶMF水野「チームが勝てば関係ない」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.1 天皇杯決勝 G大阪0-1柏 国立]

 柏レイソルの一員として戦う最後の試合は、元日の天皇杯決勝という申し分ない舞台だった。今シーズン限りで柏との契約が満了し、退団が決まっているMF水野晃樹は、トップ下で先発出場し、相当な意気込みでガンバ大阪戦に臨んでいた。しかし、G大阪に押し込まれる展開が続いた前半32分、FW田中順也との交代を命じられた。

 ネルシーニョ監督は「(水野)晃樹のプレーが悪かったわけではない」と、かばったが、水野は「最後にやってやろうという気持ちで試合に入ったけれど、前からの守備がハマらなくて、相手のペースが続いてしまった」と、振り返る。それでも、この交代から3分後、DF渡部博文がCKからゴールを決めてチームが天皇杯初優勝を果たしたことで、水野の表情は明るかった。「自分にとっては残念な代わり方でしたが、チームが勝てば関係ない。最後は何もしていないけれど、最後までみんなと戦えて2013年は良いスタートが切れたかな」と、金メダルを下げた胸を張った。

 柏を離れるが、水野は徐々に自分の本来のプレーを取り戻せていると感じているという。「前回のマリノス戦でも、良い時の自分らしさも少し出せたと思う。今後、どのチームに行くにしても、スタメンになりたいし、年齢的にも試合に加わらないと大変な時期になっている。感覚的にはまだまだだけど、ところどころで良かったときの自分のプレーが見えた。もっと出せるようにしたい」と、完全復活を誓った。

 北京世代の水野は、五輪代表がアジア予選を戦っていた頃、U-23日本代表の中心選手として活躍していた。その後、フル代表にも選出され、スコットランドの名門セルティックへ移籍している。同世代の出世頭だったが、2007年以降は、日本代表から遠ざかっている。だが、代表で活躍するという目標は代わっていないと強調する。「21歳、22歳くらいでピークと言われているけど、どれだけ早熟か。もう一回、もう一つ上のステージで戦いたい。今の代表は同世代も多いしね」と、代表復帰への強い意欲を見せた。

 そのためにも、2013年は勝負の一年となる。ヴァンフォーレ甲府への移籍が有力視されているが、水野も「あとはサインするぐらい」と、秒読み段階であることを明かした。そして「天皇杯の前半で交代するっていう良いネタもできたし。このネタで新チームでも溶け込みやすいよね」と、ニヤリ。

 表彰式では、同じく今季で退団するMF安英学とともに、優勝カップを持たせてもらった水野は「嬉しかった」と振り返り「来季、柏はACLを戦えるので応援したい」と、エールを送った。もちろん、リーグ戦で次に対峙するときは、柏にとって手強い敵となるつもりだ。

(取材・文 河合拓)

▼関連リンク
第92回天皇杯特設ページ

TOP