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[MOM636]市立船橋FW森川穣(3年)_マジメに、ひたむきに「変わった」連続日本一へのキーマン

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.24 全国高校選手権千葉県予選決勝T1回戦 磯辺0-7市立船橋 グラスポ]

「変わった」ことを結果で示す。FW森川穣(3年)は名門・市立船橋で1年時から公式戦を経験してきたアタッカー。だが、「監督から『オマエはマジメに生活しろ』と言われます。抜けているところがありました」というFWはこれまで周囲の期待に十分に応えているとは言いがたい。昨年度の全国高校選手権では登録メンバー入りも体調不良でチームから離れ、チームメートたちと日本一を喜ぶことができなかった。それでも今、森川はチームで大きな期待を背負う存在となっている。

 今夏の全国高校総体予選では交代出場した準決勝・八千代戦でチームは敗れ、まさかの予選敗退。ただ、この敗戦が森川を「変わる」きっかけとなった。「これまで迷惑をかけてきた。最後、マジメにひたむきにやろうと。本当に基本的なことなんですけど、これまではその基本ができていなかった。インターハイに出れなかったので、本当に変わらなきゃダメだと思った」。

 武器は動き出しの速さと活動量の多さ。2列目、中盤の選手たちがDFを振り切ってスペースへと飛び込んでいく、市立船橋の攻撃の中で「目覚めた男」は今、チームに欠かせない戦力となっている。この日も非常に速い攻守の切り替えからスペースを突き、磯辺ディフェンス陣の背後を狙い続けた。前半は気負い過ぎたか、やや周囲とリズムが合っていなかったが、後半は再三背後を取り、声でもチームを引っ張る背番号9とともにチームは躍動。大量6得点を加えて7-0で快勝した。

「変わった」男を朝岡隆蔵監督も頼もしく見つめている。「常に前線で声を掛けてくれるし、献身的にやっている。期待度はナンバーワンですよ」。誰よりも怒られ続けた男は周囲を認めさせ、今、市船の連続日本一へのキーマンとなっている。「自分の動きで一発流れが変わるくらいやらなきゃいけない。ワンチャンスをものにできるFWにならないといけない」。決定的な仕事だけでない役割を担うFWは「迷惑をかけた」分を激戦区・千葉制覇、そして連続日本一へ貢献することで取り戻す。

(取材・文 吉田太郎)
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