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[MOM654]福岡県DF加奈川凌矢(東福岡高、1年)_骨折した左手で戦うファイター、劇的な延長Vヘッド

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.3 岐阜国体少年男子準決勝 福岡5-3静岡 飛騨古川V]

 壮絶な撃ち合いに決着をつけたのは背番号4を背負うCBのヘディングシュートだった。福岡県は延長前半10分、右サイド中央でFKを獲得すると、左SB岩崎尚将(九州国際大付高、2年)が左足でファーサイドへ蹴りこむ。これを「DFの頭の上を越えたので自分が行くしかないと思った。自分が決めてやろうと思っていた」というCB加奈川凌矢(東福岡高、1年)が頭で合わせると、ボールはGKの頭上を超えてゆっくりとゴールへ吸い込まれた。

 熊本県のUKI-C.FC出身で「全国制覇するために」東福岡高へ進学した加奈川はこれが高校進学後の公式戦初ゴール。トップチームでの出場こそないものの、名門・東福岡のAチームに属するCBが大一番で値千金の一撃を決めた。この日は相手のハイレベルな攻撃の前に三度リードを追いつかれたが、それでも自らが決めたゴール後は得点を許さず。「CB同士でコミュニケーションを取って絶対にシュートを打たせない、という気持ちでプレーした」と気迫の守りで静岡の攻撃を跳ね返して白星をもぎ取った。

 加奈川は東京都との準々決勝の延長後半、混戦で相手GKのユニフォームに左手にかけてしまい、中指を骨折。中指と薬指とを固定したままのプレーを強いられている。それでも180cmの長身を活かした打点の高いヘッドとロングフィードを武器にピッチで躍動。決勝進出の立て役者となった。

 全国制覇するために親元を離れて福岡で成長するCBは、選抜チームではあるものの、目標の全国制覇に王手。「絶対に勝つ。福岡のみんなで全国を獲りたい」。骨折した左手で戦うファイターは兵庫県との決勝でも勝って、夢をひとつ叶える。

(取材・文 吉田太郎)
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