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[MOM668]流通経済大柏MF武田将平(3年)_名門救った意地の劇的同点弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.27 全国高校選手権千葉県大会3回戦 流通経済大柏2-1(延長)習志野 東総]

「失点が自分の前だったので責任を感じていた。(ただ)ボランチなのでポジション的にあまり前に出ることはできない。だからセットプレーは狙っていた」。敗退寸前に追い込まれていた流通経済大柏を大型MF武田将平(3年)が救った。0-1の後半39分、DF橋本将太朗の左FKに反応した武田はフリーでヘディングシュート。この一撃はクロスバーを叩いたが、跳ね返りに頭から飛び込んで歓喜をもたらした。

 普段はそこまで感情を爆発させるタイプではないが、「本当に嬉しくて、何も考えられなかった」と雄叫びをあげながら応援団へ向かってダッシュすると、左手を高々と突き上げた。後半10分に先制された場面は、右クロスに対してSBの背後から飛び出してきた相手アタッカーを捕まえることができず、目の前で先制ゴールを決められていた。だが落ちそうな気持ちを「焦ってはいけない。(終盤に)流れは来ていた」と奮い立たせ、最後の最後に訪れた1チャンスをゴールへ結びつけた。

 名将・本田裕一郎監督も「継続的に安定している」と評価する181cmの大型MF。流経大柏のキーポジションであるボランチを託されているレフティーは、技術と質の高い左足に注目の好タレントだ。この日はロングボールを多用してくる相手に対して、セカンドボールを拾ってチームを落ち着かせた。そして冷静に攻撃を組み立てると、自ら劇的同点弾を決めるなど逆転勝ちに貢献した。

 武田は中学1年生だった07年度、FW大前元紀(現清水)やMF比嘉祐介(現横浜FM)らを擁して高校選手権を制した流経大柏を国立で見ているという。「すごいな、あそこに立ちたいなと思ってやってきた。大前さんたちのチームはインパクトがあった。自分もあのように国立で優勝したい」。まだまだ戦いは始まったばかりだが、チームには苦しい試合を乗り切ってつかんだ勢いがある。シーズン通して安定した力を発揮している一方で、全国高校総体の登録メンバー落ちの悔しさも味わっているMFが、その雪辱の思いもこめてチームを勝たせ続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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