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[MOM670]帝京FW伊藤遼(3年)_東京代表するドリブラー

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.28 全国高校選手権東京都B大会準々決勝 帝京1-1(PK5-3)堀越 東久留米総合G]

 今年の東京を代表するアタッカーが雨中のピッチでそのスピードと馬力を見せつけた。名門・帝京のエースFW伊藤遼(3年)は小柄だが、この日最も危険な匂いを漂わせていたドリブラー。前半に決定機を外し、後半40分にドリブルから鋭い右足の振りで放った一撃は、会場のどよめきの声とともにポストを直撃した。無得点に終わったものの、荒谷守監督が「きょうも切れは良かったけれど、本当はもっといい」と目を細めるドリブラーは堀越守備陣が2人、3人でドリブルを阻止しようとする中でも、シュートにまで持ち込み、ドリブルで決定機をつくり続けた。

「最初自分がシュートを決めていれば、楽だった。もっと決定力を上げたい。自分がドリブルすると2人、3人来ていたし、打開するのに困った。でもそこをこじ開けないと全国で通用しない」。チームはDF高橋郁也の同点弾で追いつき、PK戦ではGK澤野亮太の好守で4強進出。チームメートとともに勝利を喜んだ伊藤だったが、全国での戦いを見据えるドリブラーは自身のプレーについて全く満足していなかった。

 昨年は準々決勝で都立勢の東大和にまさかの敗戦。「自分の力不足で3年生に残念な思いをさせてしまった。あの悔しさを常に頭に置きながらやらなければいけない。(自分自身成長した点は)緩急を使ったドリブルとか、昨年なかった人を使うプレーができてきていること」。悔しさをバネにトレーニングを積み、動画サイトで世界のドリブラーの動きを研究。相手の逆を取るドリブルも磨き、スピード以外でも相手を外すことができるようになった。昨年からすでに印象的なプレーを見せていたが、闘争心の強さも加えてスケールを増した感がある。

 準決勝の対戦相手は関東一。「(場面によっては)2枚、3枚で止めにくると思う。そこをどう仕掛けるか。関一は強いと思う。でもその壁を乗り越えて、決勝、全国へ行きたい」。名門復活のキーマンがその個人技で強豪の壁をぶち破る。

(取材・文 吉田太郎)
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