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[MOM678]滝川二MF太田皐介(3年)_負傷に苦しんだ主将が快勝を演出!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.11 全国高校選手権兵庫県大会決勝 滝川二4-1神戸弘陵 ホムスタ]

 苦しんだチームと同じく、主将のMF太田皐介にとっても苦しい一年だった。「しっかり物を考えられるし、キャプテンはスタッフに近いという、うちの考えに合った」と栫裕保監督が評価するように、非常に頼りがいのあるキャプテンで、今年のチームの中心となるはずだったが、新チーム結成直後に右足首を負傷。手術をして新人戦に挑むつもりが、怪我が長引き間に合わなかった。完治後もパフォーマンスは向上せず、総体予選はメンバー入りこそ果たしたが、1回戦はベンチを暖めた。

「ここから上げていこう」。そう思っていた2回戦の直前に、今度は左足首を負傷。診断結果は全治3か月。頼もしいキャプテンの不在も響き、チームはベスト8で姿を消した。「この1年でプレー出来たのは3か月くらい。怪我をしている時期はプレーでチームに貢献できなくて、『なんで俺だけこんな怪我せなあかんねん』と思った事もあった」と悔しさを滲ませる。それでも、チームメイトや家族の励ましもあり、しっかりとリハビリに取り組み、ほとんど試合に出られていない状況ながらも、チームメイトの後押しもあって、メンバー登録に滑り込んだ。

 意を決して挑んだ今大会は5戦フル出場。徐々にコンディションをあげていき、「皐介がうまくコントロールしてくれている。僕が良いプレーしてくれている時は皐介のおかげ」と話す高畑智也とのボランチコンビでチームを牽引した。迎えたこの日の決勝は、「今日が一番良い出来」と振り返るほどのプレーを披露。「僕が生きるというより、人を生かすプレー」と自信を見せる献身的な守備で貢献しただけでなく、長短のパスで先制点と3点目のアシストを記録した。

「使ってくれた監督、信頼してくれた仲間にも感謝したい」。様々な思いが交差し、試合後は喜びを爆発させるチームメイトの中で、涙を流した。「最後こういう形で終わって、自分はツイてるなと思う。ホントに仲間に恵まれて全国へ行けるし、嬉しい気持ちでいっぱいです」。最高の仲間との思い出を終わらせないためにも、この一年の悔しさを晴らすためにも、全国の舞台で彼は活躍を誓う。

(取材・文 森田将義)
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