[12.31 全国高校選手権1回戦 創造学園2-3香川西 フクアリ]

　第91回全国高校サッカー選手権は31日に大会2日目を迎えた。フクダ電子アリーナの第2試合では、初出場の創造学園(長野)と7年連続8度目の出場となった香川西(香川)が対戦した。前半17分にFW近藤義剛(3年)のゴールで先制した香川西に対し、創造学園も前半終了間際にDF高木智也(3年)がFKからゴールを決めて同点に追いつく。後半に入ると創造学園が主導権を握ったが、1チャンスを生かし、香川西が追加点を入れる。その後、一度はFW宮下周歩(3年=松本山雅FC内定)のゴールで同点に追いつかれたが、後半34分に近藤が、この日2点目となるゴールを決めて3-2で勝利した。

　序盤から攻勢に出た香川西は、前半17分にMF金沢裕平(3年)が左サイドから中央に持ち込み、近藤へパス。「3年間一緒に試合に出ているから、どこにボールが来るかは分かっていました」と話す近藤はドリブルでGKをかわし、左足で無人のゴールにシュートを決めた。先制点が入り流れを引き寄せるかと思われた香川西だったが、大浦恭敬監督が「相手は初出場で、うちは5人、昨年も経験している選手がいる。その部分はストロングポイントだと思ったが、うまくできなかった」と、振り返ったように、ボールを前に運べなくなる。前半終了間際には、創造学園がFKのチャンスを得ると、MF勝沢拓斗(3年)が流したボールを高木がシュート。これが決まって1-1で前半を折り返した。

　後半に入ると、創造学園が攻勢に試合を進める。エースの宮下は厳しいマークに遭ったが、周囲がチャンスをつくり出す。後半9分にはFW堂安憂(2年)のパスから勝沢が抜け出してGKと1対1になるが、シュートはGK田中大貴(2年)に阻まれた。その2分後には勝沢が距離のある位置からゴールを狙う。これがクロスバーを叩くと、こぼれ球に宮下が反応。DFと競り合いながらもゴール前で合わせだが、シュートは左に外れて行った。

　流れを変えたい香川西は後半12分、FW阪本翔一朗(2年)に代えて、FW藤岡航世(1年)をピッチに送り出す。その6分後だった。ドリブルでPA内に侵入した金沢が、シュートを放つ。これがDFに当たるとGKの逆を突く形でゴールに入り、香川西が再びリードした。

　試合を優勢に進めながらも再びリードを許した創造学園は、後半30分に高い位置でボールを奪うと、勝沢が右足でシュートを放つ。これはGK田中に弾かれたが、宮下が回収し、落ち着いてボールをコントロール。左足に持ち替えて放ったシュートで、確実にゴールネットを揺らした。FKからの見事なゴール、さらにエースのゴールで、2度のビハインドを追い付いた創造学園。しかし、こちらも得点を挙げた後に勢いに乗ることはできなかった。

　同点ゴールから4分後、香川西が追加点を挙げた。右サイドからMF箱崎裕也が藤岡にパスを入れると、DFを鋭い切り返しでかわした藤岡が左足でシュート。これをGK鈴木宗政(3年)が弾いたところにフリーで詰めていた近藤が、この日2点目となるゴールを決めて、3-2と勝ち越した。

　三度目の同点ゴールを目指した創造学園だったが、終盤は香川西に速攻からチャンスをつくられてしまう。後半38分には金沢の突破を止めようとしたDF山本景斗が、二度目の警告を受けて数的不利となり、万事休す。初の選手権挑戦は、初戦敗退という結果に終わったが、勝沢勝監督は「2度リードされても、2度追い付いた。そのメンタリティはやってきたことの成果だと思うし、成長として褒めてあげたい」と、選手たちを労った。

　勝利した香川西の大浦監督は「(相手の)1点目はスーパーゴール。2点目も(自陣で)余計なことをしたことで追加点を取られたけど、崩されたわけではなかった。そういう失点を喫すると、負けることが多いが、今日は勝ち切れた。勝てたことが収穫ですし、初戦の興奮があったと思いますが、これで2回戦は落ち着いて戦えると思います」と、2日の2回戦への期待を口にした。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文　河合拓)

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