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[選手権]PK戦の末、鵬翔が東邦に“リベンジ”

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[12.31 全国高校選手権1回戦 東邦0-0(PK3-5)鵬翔 麻溝]

 第91回全国高校サッカー選手権1回戦、東邦(愛知)対鵬翔(宮崎戦は0-0で突入したPK戦の末、鵬翔が5-3で勝利した。

 東邦の積極的なアタックが、キックオフ直後から際立っていた。東邦は1分、3分とシュートを放つと、6分にはMF伊佐地康佑(2年)が強引な突破からミドルを放ってバーをかすめる。遠目、1タッチと思い切りのいいシュートが多く、爽快で豪快な“高校生らしいサッカー”を披露する。

 東邦は後半8分にも、FW高橋歩睦(3年)の落としから、MF水野翔太(2年)がエリア右に抜け出した。しかしここはGK浅田卓人(3年)がよく詰めてブロックする。「守備が頑張っていたので、危ないシーンがあっても、点を取られる気はしなかった」という守護神・浅田の奮闘で、鵬翔が試合の均衡を保つ。

 鵬翔は後半16分、俊足FW宇田津力斗(2年)を投入し、布陣を2トップから3トップに変更する。「スピードのある選手を入れれば、何とかなる感じがした」という松崎博美監督が、勝負を賭けた。鵬翔も少しずつ調子付き、24分にはMF川崎皓章(2年)の右クロスからFW北村知也(1年)がボレーでゴールに迫る。

 更に残り15分を切った27分、鵬翔は「今月初めに手術をして、まだ全力でやれない」(松崎監督)というエース中濱健太(3年)を投入。中濱は無理の効かない状態ながら、俊足を生かした抜け出しで相手のイエローカードを誘うなど、見せ場を作った。ただ俊足の両ウイングも「オフサイドにばかり掛かってしまって」という状態で、ゴールラインを割れない。

 前後半の80分を経ても、お互いにネットを揺らせず、PK戦にもつれ込んだ。愛知県大会決勝のPK戦で、相手に1本も成功を許さなかった東邦の守護神・西浦駿斗(3年)に対し、「強め強めに蹴った」(松崎監督)という鵬翔が4本連続で成功する。GK浅田が相手の4人目をストップすると、「PK戦はメンタル的なところが出る」と分析する松崎監督は、PKストップを決めた直後の浅田を最終キッカーに指名。浅田がこれを決め、PK戦は5-3で決着した。

 今大会は6年ぶりの選手権出場となる鵬翔だが、前回大会はPK戦で敗退している。東邦とも9年前の全国高校総体で「増田誓志たちのチーム」(松崎監督)がPKにより退けられたという因縁があった。松崎監督は「1回はお返しをしないと」という気持ちをようやく晴らし、当時の話を聞いていたという浅田も「リベンジできました」と胸を張る。鵬翔がエースの負傷、PK戦という試練を乗り越えて2回戦に進出。次戦は帝京大可児(岐阜)と対戦する。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 大島和人)
【特設】高校選手権2012

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