[12.31 全国高校選手権1回戦 正智深谷2-2(PK3-4)京都橘 埼玉]

　FWオナイウ阿道(2年)など強力な攻撃陣を揃え、初出場を果たした正智深谷(埼玉)とスピードとテクニックを併せ持つFW小屋松知哉(2年)などを擁し、自慢のパスサッカーに加えショートカウンターにも磨きをかけた京都橘(京都)の試合は、立ち上がりからオープンな打ち合いとなり、互いに終始攻撃的な姿勢を見せ続け、2-2で80分間を終え、PK戦までもつれ込んだ。そしてPK戦を4-3で制した京都橘が2回戦へと駒を進めた。

「正智深谷さんの方が上だと思っていた」と語った京都橘・米澤一成監督が「(得点の機会は)ああいう感じしかない」と語っていたのはショートカウンターの形だった。「あんなの初めて。テンションが上がっていたのではないか」と米澤監督が驚くほど、前後半共試合の入り方が素晴らしかった。

　立ち上がりの時間帯に見せたショートカウンターが得点に繋がった。ショートカウンターを仕掛けていったのは快速FWの小屋松。4分にはFW仙頭啓矢(3年)へ正確なパスを送りアシストを決め、後半3分には右サイドを突破後、角度のないところからシュートを決めた。快速FWの活躍で常に先手を取る戦いができたのは大きかった。

　正智深谷も粘りを見せ、21分にMF齋藤雄士(2年)のCKをファーサイドでオナイウがヘディングで落とし、こぼれ球を拾ったDF小島圭貴主将(3年)がゴールを決め、13分には齋藤が何度もDFにシュートを引っかけながらもこぼれ球を拾い続けてゴールを決めるなど、2度追いついたが、頼みのオナイウとFW小島凌(3年)の2トップがシュートゼロに抑え込まれ、逆転には至らなかった。

　PK戦に関しては「楽しんでやろうとワーッと言っていたのでこのまま流そう」と京都橘・米澤監督は自信を持って選手たちを送り出した。「目立ちたがり屋でPKに強い」と米澤監督が語るGK永井建成(2年)は2本目でボールに触れてコースを変え、ポストに当てる活躍を見せた。4人目が外したものの自信を持ってPK戦に臨んだ京都橘の選手たちは見事に高校選手権初勝利を引き寄せた。

　スピード感あふれる鮮烈な攻撃を見せた京都橘。大会で旋風を巻き起こせるか、大いに注目だ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文　小林健志)

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