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[MOM714]滝川二DF佐々木慎太郎(3年)_怪我に苦しんだ“DFエース”が完全復活をアピール

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 山形中央0-2滝川二 市原]

「うちに特別な選手はいない」。県予選からそう繰り返す滝川二・栫裕保監督だが、守備の話題になると思わず目じりを下げる。話題の中心となるのは「今だったら西日本で数本の指に入ると思う。DFの選手を見極めるのは非常に難しいんですけど、彼は最近いないDFだと思います」と高く評するDF佐々木慎太郎(3年)だ。この日も高さと統率力で山形中央の攻撃陣をしっかりと抑え込んで完封の立役者にとなり、「まずは初戦突破」というチームに貢献してみせた。

 チームに欠かせぬ存在の彼だが、「埋もれていた」と栫監督が表現したように、中学までは県トレセンにこそ入るも、チームでは「メンバーは初心者ばっかりでめっちゃ弱い中学で県大会も出れないくらい」(佐々木)の公立中学に所属していた。そんな彼に転機が訪れたのは中学3年の冬。「普通の公立に行ってサッカー辞めようかなと思っていたけど、どうせ辞めるなら当って砕けろで名門を受けてみよう」と一発奮起し、滝川二のセレクションに挑戦し、見事に突破。1年時からAチームに登録され、選手権も県予選まではメンバー登録されていたが、本大会はメンバー外に。選手権優勝をスタンドから見守るという悔しい思いをした。

 2年だった昨年は準決勝で市立西宮に敗れ、全国の舞台に立てず。“今度こそは”という思いを胸に抱いた今年は1年間、ずっと小さな怪我の連続で公式戦に出ることが出来なかった。そして、迎えた冬。選手権予選の1週間前の試合でフル出場し、チームへ戻ると守備に落ち着きを与え、予選突破の立役者に。彼の復活とともに、チームは上昇し続けたといっても過言でもない。

「(今回が)初の全国なんで、夢の舞台。立てると思っていなかった」というこの日も存在感を発揮。その出来栄えに、栫監督は「一人で変わるのかなと思うけど、あいつが入るとDFがすっと締まる。彼がいればプリンスで獲られた失点の3分の2は抑えられたのではと思う。守備が締まれば、攻撃も締まる。“ディフェンスエース”と言っても過言じゃない」とまたしても、高評価を与えた。悔しかったこれまでを良き思い出にするためにも、次戦以降も彼は最後尾に君臨し続けるだろう。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 森田将義)

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