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[MOM717]青森山田GK田中雄大 (2年)_PK戦連勝も課題を猛省

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 青森山田2-2(PK4-3)修徳 駒沢]

 2試合連続となったPK戦を制し、3回戦進出を決めた青森山田(青森)。初戦の野洲戦で、正GKである野坂浩亮(3年)が相手選手と接触し、十二指腸に穴が開くという大ケガに見舞われた。急きょ、出場機会が与えられたGK田中雄大は、2回戦の修徳戦でもPKを2本ストップ。3回戦進出の立役者と言っても過言ではない。黒田剛監督も「田中が野坂の分まで、気持ちの入ったプレーをしてくれる」と、評価したが、試合後の本人の表情は冴えない。「今日、良かったのはPKを止めたことだけ」と、不満げだった。

 何より悔やまれるのは前半21分、1失点目の場面だ。DF室屋成(3年)のバックパスが荒れたピッチで不規則に跳ね、DF山田将之(3年)が処理に手間取る。田中はPAを飛び出し、自らそのボールを処理しようとしたが、山田将と接触してしまう。そこに詰めていた修徳FW小野寺和也(3年)にボールをさらわれ、無人のゴールにシュートを決められてしまったのだ。「この先でああいうプレーをしていたら絶対に勝てない」と、田中は猛省する。

 ここで負けるわけには、いかない。GKはFP(フィールドプレーヤー)の選手たちとは別に練習することが多い。田中にとって、一学年上の野坂は、ポジションを争うライバルであると同時にお手本であり、切磋琢磨してきた仲間である。黒田監督は野坂の状態について「手術をするのは難しい場所で、薬を飲みながら自然に治癒するのを待つしかない。今は入院しているけれど、国立に行ければ、おそらく退院できていて、見に来ることができるはず」と明かし、チームとしての「彼の夢であったし、国立に近づきたい。PKでもなんでもいい。勝って次に進めれば」という、決意を口にした。

 試合を終えてすぐに野坂に電話で勝利を報告し「『おめでとう』と声を掛けてもらいました」と話す田中。「明日も試合があるので」と、言葉少なに取材エリアを歩き去った2年生守護神は、3日の星稜(石川)戦に気持ちを切り替えた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 河合拓)

【特設】高校選手権2012
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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