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[MOM726]旭川実MF奈良創平(3年)_蹴りたかったPK、「運も実力のうち」

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 旭川実0-0(PK4-2)米子北 フクアリ]

 プレッシャーはなかった。自信を持ってPKを蹴った。0-0のまま突入したPK戦。先攻の旭川実(北海道)は3-2とリードして迎えた5人目、MF奈良創平主将(3年)がボールをセットした。決めれば同校初の3回戦進出が決まるPK。それでも「練習してきたので、いつもどおりに自分の形を出すだけだった。緊張はなかった」と、冷静にゴール左隅に流し込んだ。

 勝利を決めるキック。この日と同じように0-0からのPK戦で大津(熊本)を下した1回戦も奈良は5人目のキッカーを務める予定だったが、その前に勝敗が決し、出番は訪れなかった。試合後には「蹴って勝ちたかった」と話していたが、その2日後にチャンスが到来。確実に成功させ、「蹴りたかったのでよかった」と白い歯をこぼした。

 2試合連続のPK戦勝利。160分間を戦い、まだ失点はない。ボランチの位置で攻守に奮闘する奈良は「相手の切り替えが速くて、ボールを弾くことはできたけど、セカンドボールを拾えなくて押し込まれた。ゴールは割らせなかったけど、それまでの過程が悪すぎる」と、無失点にも厳しい言葉を口にする。

 悪い流れの中でも耐え抜き、PK戦の末、もぎ取った勝利。守備陣の体を張ったディフェンスとともに、ゴールポストやクロスバーにも助けられたが、「運が味方してくれている感じはするけど、運も実力のうちというか、我慢している甲斐があるのかなと」と胸を張る。

「春ごろまではみんな一人で勝手に熱くなったり、うまくいかないと、個人のところで崩れたりしていたけど、プレミアで我慢強さが自然と付いた」。高円宮杯U-18サッカーリーグ プレミアリーグEASTで全国の強豪と対戦してきた経験が、選手たちの血となり、肉となっている。

 同校初の16強入りを果たしても「目標は国立だし、その先もあるので、(歴史を)塗り替えている気持ちはない。自分たちの目標を達成したい」と意気込む奈良。3回戦では、八千代(千葉)を7-1で粉砕した立正大淞南(島根)と対戦する。「相手は攻撃的だけど、自分たちは自分たちのやるべきことをやりたい。守備から入って、流れの中から点を取りたい」。堅守を武器に再びジャイアントキリングを起こす。

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2012
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