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[MOM730]佐野日大DF竹内博紀(3年)_小さなCBの大きな気配り

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 佐野日大1-1(PK5-4)香芝 麻溝]

 168cmの小さなCBは満身創痍だった。「ずっと風邪気味だった」という体調に加えて、試合中に飛ばしたコーチングのせいで、声はすっかり枯れている。更に試合中にくるぶしを痛めつつ、志願の強行出場。足も小さく引き摺っている様子だった。

 そんな状態でも、DF竹内博紀(3年)の存在は大きかった。試合は佐野日大(栃木)が堅守の香芝(奈良)を攻めあぐね、1-1のスコアでPK戦までもつれ込む。2本連続で成功した香芝に対し、佐野日大は2人目の折橋翔太が失敗してしまう。すると竹内は折橋に歩み寄った。

「お前が1点決めたから、追いついてPKになった。県大会もずっと、お前のゴールで勝ち続けてきている。ここで外しちゃってもGKが止めてくれる……」(竹内)。その言葉は単なる慰めに終わらず、現実になった。佐野日大は残る全員がPKを成功し、3回戦に進んでいる。

 小中と栃木県選抜のキャプテンを務めたという竹内は、佐野日大でも100名以上の部員を引っ張るキャプテン。公募推薦で筑波大に合格するなど、“文武両道”の部分もお手本となるリーダーだ。

 CBとしても、目を見張る能力がある。鋭い出足と球際の強さでボールを奪い切り、VERDY小山時代からコンビを組む安良岡賢人との連携も抜群。チャレンジ&カバーの動きが重なることは皆無といっていい。相手の懐に潜り込むプレーを見ると、身体の小ささをむしろ強みとして生かしていることが伝わってくる。「ハイボールを狙われるんじゃない?」と意地悪く水を向けても、「プリンスで、もっと大きな相手とやっていた」と自負を見せる。

 大学でプレーを続けるかどうか、まだ結論は出していない。まず選手権で完全燃焼することが、竹内にとって現在の“すべて”だ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 大島和人)

【特設】高校選手権2012
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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