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[Y☆voice244]帝京大可児MF杉本太郎「世界で15人というのはプレッシャーよりは自信になった」

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 高校年代の注目選手にその時どきの課題や目標について聞く連載企画「Youth star voice」。第244回目は帝京大可児高(岐阜)のMF杉本太郎選手(3年)です。

 U-16日本代表として出場したAFC U-16選手権イラン2012ではチームの準優勝に貢献して大会MVPを獲得。そして先日には、ナイキ社のフットボールスパイク「マーキュリアル ヴェイパー」誕生15周年を記念して世界で15人の「若くて才能のあるフットボールプレーヤー」に選出されました。「マーキュリアル ヴェイパー」を履いて活躍した元ブラジル代表の“レジェンド”FWロナウド氏の“後継者”に指名されたアタッカーの現在の意気込みとは?(取材日:5月2日)

―ロナウドの“後継者”として世界の15人に選ばれた。その証として「ナイキ マーキュリアル ヴェイパーIX SE(スペシャルエディション)」を受け取ったがその感想は?
「世界で数少ないうちのひとつなんで、それをもらえたことはとても光栄です」

―活躍を認められた。これまでとはまた違う世界からの評価を得たが
「そうやって認められたことは自分の自信にもなっていくと思う。これで調子に乗らないで、謙虚な気持ちを忘れずにやっていきたいです」

―普段から満足することはない
「あまり満足したくない。満足したら成長しなくなると思っているので」

―最初聞いた時の感想は?プレッシャーなる?
「びっくりしました。自分としては信じられない気持ちだった。世界で15人というのはプレッシャーよりは自信になった。でもそれに満足しないようにしたい」

―実際にスパイクの履き心地は
「軽いなと思いました。あまり人工皮は履いたことがないんですが、横幅が狭くてフィット感が良かった。見た目は懐かしいというか。昔ブルーを履いていたので」

―ロナウドのプレーの印象は
「ワールドカップの得点王ですよね。エースストライカーって感じ。(親善試合の)レアル対ヴェルディで見た記憶があります。あと2002年のワールドカップで見た印象があります」

―ロナウドの武器はスピード。スピードに関してはどういう意識を
「一瞬のスピードは意識しています。かわした後のタッチを速くしようとしている。そのスピード感が速く見えるのか、友だちからは『ドリブルでかわした後、速い』みたいに言われるんですけど、50m走とかは速くないです」

―それは意識して身に付けてきた
「意識はあまりしていないですけど、かわした後の次のタッチを速くしようというのは考えていますね。あとターンした時に前向いた後のスピード」

―世界は自分自身にとっても目標
「夢は世界で活躍できるサッカー選手になりたい」

―周囲の評価と現在の自分とのギャップも感じているのでは
「アジアでMVPとか取って自信はついたんですけど、まだまだ世界で活躍できるなんて思っていないし、そんな技術も全然ないと思うのでこれから努力していくしかない」

―選手権はそのプレッシャーの中で戦った
「自分では意識はしていなかったですけど、思うようなプレーはできなかった。でもそのせいにはしたくない。プレッシャーに負けたというのを自分の言い訳にはしたくないので、自分の力が足りなかっただけだと思います」

―課題として見えた部分は?
「去年の選手権は後半の途中くらいから体力的に攣りかけてそれがダメだった。それで選手権終わりから冬は走って改善できたところなんですけど、でもまだ試合を決めるというところで点を取るということができていない。プリンスリーグでもまだノーゴールなんで、そこは突き詰めていかなければいけない」

―PK戦で負けた鵬翔が優勝したことについては
「自分たちもそこに勝っておけばいいところにいけたと思うんですけど、そこで勝ちきれなかったのは自分たちに力がなかったから」

―今年はどのようなプレーを意識している
「ビルドアップのところであまりミスしないということを意識して、その中でも今年はバイタルに入ったら積極的にゴールを狙ってゴールを取れる選手になっていきたいです(アジアユースではゴールを奪えたが)でもチームに帰って結果を残せていない」

―今年はU-17代表としてワールドカップがある。大会が近づいてきている今の心境は
「(出場が)決まった時からチームに帰ってきても、ワールドカップというのは意識しているところがある。まずはメンバーに入ることなんですけど、それへ向けて一日一日練習している」

―チームの状況は
「サニックスはやられたので。メンバーも大分新しい人が入ってきている。それでも、96ジャパンのスタイルは誰が出ても同じサッカーができるというコンセプトがあるので、誰と出ても同じサッカーができるようにしなければいけない」

―やはり、楽しみ?
「ずっとワールドカップのことを考えている。勝手に意識してしまっています。ワールドカップのためにやってきたので。チームとしてもインターハイがあるので結果を残したい」

―プリンスリーグはあまり結果が出ていないようだが
「後半に立て続けに失点してしまう。2点目が取れないのもあるし、失点してしまった時にみんなのメンタル的にガクッときてしまっているところがある。『またかよ』『また取られた』ではなくて『もう1点取ってやろう』というふうに変えていかないとキツイ」

―チームとしての目標は
「全国優勝が目標ですね」

―サッカーに専念するために寮にも入った
「去年MVPを取った後に寮に入りました。家からは車で30分、電車でも30、40分くらいの距離。(帝京大可児の寮は)グラウンドが目の前なので、よりサッカーをしている時間が長くできると思った」

―それはユースの選手たちと比べてサッカーへの時間が足りないと感じたから?
「アジアカップの時にサッカーに関わる時間が長くて、サッカーのことを考える時間も長くて、チームに帰った時に自分で振り返ったらサッカーに携わる時間が短いなと思った。ちょうど選手権前で選手権に向けて入ろうかなという気になりました」

―よりスケールアップしたところを見せたい
「期待に応えるだけでなく、期待を上回るような活躍ができればいいと思います。目に見えないというか、スピードはないですけれど、持久力だったり、何回もボールを受けることだったり、自分のいいところをブラさずにしっかりとやっていけば、結果はついてくると思う。できないことをやっても無駄だと思っている。空回りするだけなんで、自分のできることを精一杯やれればいい」

―憧れはスペイン
「自分のプレースタイルに合うというか、バルセロナというチームのサッカーは自分にとって衝撃だった。あんな小柄な人たちでも世界でナンバーワンになれるんだと」

―ワールドカップへ向けて、そして世界で15人に選ばれたことでの意気込みは
「ワールドカップの目標は日本のサッカーが世界でできるんだということを見せつけて、世界一を目指してやっていきたいです。(世界の15人に)選ばれたという誇りを持って恥じないプレーをしていきたいです」

(取材・文 吉田太郎)
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連載:「Youth star voice」

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