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[MOM801]流通経済大柏FW立花歩夢(3年)_「そろそろ応えなきゃ」大器がついに躍動

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.30 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 静岡学園0-2流通経済大柏 時之栖裾野G]

 待望されてきたストライカーが、公式戦でついにその才能の一端を披露した。流通経済大柏FW立花歩夢(3年)は、この日静岡学園守備陣を翻弄したスピードと強靭なフィジカル、そして技術も兼ね備えた大器。名門・流経大柏で1年時に早くもAチームに入っていたという才能だが、ここまで公式戦では全く期待に応えることができていなかった。

 試合2日前の28日に行われたゲーム練習では3本目の控えとして出場。その時点では1トップ候補の4番手に位置していたが、本田裕一郎監督はこの日、得点力がやや伸びない現状打破への起爆剤として立花を抜擢した。「監督が『チャンスやるからやって来い』と。そろそろ応えなきゃと思っていた」という立花は、前半からそのスピードでDFの背後へ抜け出し、球際で厳しい守りを見せていた静岡学園守備陣にも怯むことなくボールキープ。そして決定的なシュートも放って“乗る”と後半2点に絡んで指揮官の期待に応えた。

 後半15分、右サイドでボールを持ったMF青木亮太からのパスをギャップで受けてPAへ侵入すると、シュートフェイントから切り返して右足一閃。これはDFの必死のブロックにあったが、こぼれ球を拾った青木が鮮やかにDFとGKをかわして先制ゴールを押し込んだ。

 控え選手たちの「アーユム、アユム、やってやれ!」のエールに後押しされた立花はこの後、さらに躍動する。スルーパスや縦パスから静岡学園DFの背後へ抜けだして24分、42分と決定的なシュート。またサイドへ開いては相手をあざ笑うかのような身のこなしを見せてベンチを沸かせた。そして44分だ。左サイドで粘った青木のスルーパスで抜けだすと、GKを十分に引きつけてから右サイドでフリーのMF上田将寛へラストパス。これを上田が難なくゴールヘ押し込んで勝利を引き寄せた。「きょうが一番良かったですね」と笑顔を見せた立花に対し、本田監督は「歩夢、良かったねぇ。苦しんだけれど、きょうはいい選手が見つかった。歩夢も自信ついたんじゃない?」と賞賛していた。

 立花自身は3年生になれば、ポジションを掴むことができると思っていた。その才能に期待する声も聞こえてきていた。ただ現実は甘くなかった。それでも徐々に上がってきている実感があった。そして、この日見せた迫力十分のプレー。「ようやくスタート?」の問いに「3年目にして。。」と笑った立花は「裏への抜け出しとかシュートまで行けたところもあったし、球際でのコンタクトでも取られないところが良かったです。これを続けなきゃいけない。インターハイに向けてこれから結果を出して、インターハイでも得点王を取っていい進路に繋げたい」と言い切った。まだ無得点だが、全国得点王の可能性も否定出来ない実力者。この日の動きを続けて名門でその存在を絶対のものにする。

(取材・文 吉田太郎)

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