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[MOM884]玉野光南FW中井レアーズ(2年)_独特の感覚でピッチ駆け抜ける岡山の俊英

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 全国高校選手権岡山県予選準決勝 岡山学芸館2-2(PK5-6)玉野光南 笠岡陸上競技場]

 延長戦、PK戦ではピッチの外からチームの勝利を祈ることしかできなかった。「激しい試合だったんですけど攣ってしまったのは反省点。チームのみんなで迷惑をかけてしまった」と2-1の後半37分に足を攣らせて交代したことを反省していたものの、この試合で最も存在感を放っていたのは玉野光南の2年生アタッカー、FW中井レアーズだった。

 乙倉健二監督が「あの感覚は絶対に教えられない」と感嘆する「抜く」技術とスピード。本人が「(自身の武器は)スピードと瞬発力はチーム一あるんで、それで抜けたり、相手のボールを奪ったりしていくこと。自分もいいコンディションでしたし、応援とか周りのサポートのおかげで、自分の持ち味を発揮できたかなと思います」と振り返ったこの日はその快足で違いをつくり出した。

 前半19分にはMF土居晃貴(1年)が左オープンスペースへ出したパスで抜けだすと、一度DFにボールを収められながらも取り返して右足シュートを放つ。その後もヒールパスでMF西江裕哉(2年)のシュートを演出するなどアイディアも交えたプレーでチームを牽引した中井は、32分にはカウンターから左サイドで2人を一気に抜き去るビッグプレー。「サイドへ行くと見せかけて、ちょっと足の裏を使ってずらして、ちょうど2枚の間に隙間があいたのでガッと体とボールを一気に入れた」と振り返る突破からPAへラストパスを通した。スピードと相手の隙を見る目、そして細かいタッチのドリブル。この日は無得点に終わったものの、ボールホルダーとの距離を一気に詰める守備でも相手を苦しめ続けた。
 
 目標とする選手は昨年のJ1得点王、広島FW佐藤寿人だ。「1タッチプレーやスピード活かしたプレー、倒れ際に打つボレーとか、ああいうプレーをボクも結構するんで、見ている」。昨年自らのタイトルと、リーグ優勝との両方を勝ち取った憧れの存在のように自分もゴールを決めて全国へ。「この選手権の舞台には熱い気持ちがあって、全国へ行くことに憧れを持っている。3年生にとっては最後なんですけど、1、2年生のボクらが出ているので、最後3年生が笑って終われるように頑張る」。10日の決勝の相手は作陽。作陽のスピードスター、日本高校選抜平岡翼(3年)に注目が集まるが、玉野光南の俊英はそれ以上のプレーでチームを全国へ導く決意だ。

(取材・文 吉田太郎)
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