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[MOM907]流通経済大柏DF石田和希(3年)_圧倒的な存在感「日本一の主将」へ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.1 高円宮杯プレミアリーグEAST第17節 鹿島ユース1-1流通経済大柏 カシマスタジアム]

「いかに一人が頑張るんじゃなくて、出ている11人がリーダーシップを持つか。そうすればキャプテンはいらないということを一週間話しましたし、少しずつ周りの選手たちが声を出し始めたんじゃないかなと思います。ラスト締めくくって、感謝の気持ちを恩返しできるように。それは選手にかかっている」。圧倒的な存在感で流通経済大柏高を支えるU-18日本代表候補DF石田和希主将(3年)は、選手権予選敗退で沈むチームを立て直し、プレミアリーグ制覇を戦う軍団へと意識を変えた。

 石田の選手権に懸ける思いは誰にも負けないくらい大きかった。もちろんショックはある。「実際に言葉以上にきつかったですね。きょうはプレミアが久々の試合で難しかったんですけど、いかに自分たちにとって選手権が大きな存在だったのか感じました。(敗れた市立船橋戦の)話に聞くと悔しさが蘇ってきますし。でもまず自分がやらないといけない」と先頭に立ってチームの心をひとつにしてきた。

 この日はプレーの面でも大きな存在感を放った。相手のロングボールと前線からのプレッシャーによって、流経大柏は本来のパスワークではなく、最終ラインから蹴るシーンが増えてしまった。それでも左SBを務める石田は冷静に相手のプレッシャーを剥がし、目の前まで寄せてきた相手の頭上を通すボールコントロールから前進する技術の高さも披露。そしてトップから降りてくるFW森永卓(3年)の足元へ正確な左足でボールを入れるなど攻撃面で貢献すると、相手のロングボールやクロスを身体を張ってクリアするなど守備面でも奮闘した。

 その輝きがより増したのは後半30分にポジションをボランチへ移してからだ。両サイドの局面に顔を出すと、相手の逆をとる動きで崩しを加速。40分には中央での鮮やかな3人抜きでPAにへ侵入すると、そのまま強烈な左足シュートを見舞った。「タッチ数を少なく、前線に長所をもっている選手が多いのでそこにシンプルに当てることと、個の部分を活かして前が開いたら仕掛けてチャンスをつくるということを意識した。SBからの頭のチェンジがすぐにできたので、あとはあのシュートを決めていれば…。あれ決められないと『ない』ですね」。自らの仕掛けで穴を開けた一撃を決めきれなかったことを悔やんだが、それでも存在感はピカイチだった。

 先週の静岡学園戦は右ふくらはぎの肉離れの影響で欠場。石田にとっては市立船橋に0-1で敗れた選手権千葉県予選決勝以来となるプレーだったが、選手権の悔しさを吹っ切るようなプレーだった。プレミアリーグEASTの優勝をほぼ確実とした流経大柏。石田は「自分たちが取りたいのはチャンピオンシップ優勝なんで、EASTとWESTの中の最強と言われるように、高体連でもチャンピオンになれるんだと言われるように、頑張りたいと思います」。今年の流経大柏は「最強」と評されながらも全国高校総体で準優勝に終わり、選手権での日本一も逃した。だが、名門を声とプレーで引っ張る男が、高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグのチャンピオンシップ(プレミアリーグEAST優勝チームと同WEST優勝チームが対戦、12月15日)優勝へ導いて「日本一の主将」となる。

(取材・文 吉田太郎)
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