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[MOM919]柏U-18DF中谷進之介(3年)_柏の伝統と20番を背負ったチームリーダー

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.16 高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦 柏U-18 2-0 愛媛ユース 広島一球]

 勝利を告げるタイムアップの笛を聞いた際は笑顔を貫いていたが、ベンチに引き揚げ、ひと段落した瞬間、柏U-18DF中谷進之介主将(3年)の頬を涙が伝った。

「泣かないようにしていたんですけど、普段厳しいGKコーチの(松本)拓也さんが『良くやった』って言ってくれたんで出ちゃいましたね(笑)」。ロッカールームに戻り、平常心を取り戻した彼はそう笑みを浮かべた。

「とりあえず、プレミアに参入する事が出来て良かった。2年生だった昨年は(昇格出来ずに)悔しさを非常に味わったので、後輩たちに同じ思いをさせずに一歩を踏み出させてあげられたので良かった」。

 昨年も主力の一人としてプレミアリーグ昇格を目指し、プリンスリーグ関東1部を戦ったが、得失点差の結果、3位に終わり参入戦まで進めず、先輩たちと共に辛い思いを味わった。雪辱を晴らすべく、主将としてチームを引っ張り続けた今年は2位で参入戦に進出した。

 勝てば、悲願のプレミア昇格が決まるこの日の試合では、下平隆宏監督が「本来だったら、ボランチも出来るくらい技術がある選手。相手がプレッシャーをかけてきても、ひるまずにボールが出せるし、前に進める。相手の状況を見て、プレーが出来るクレバーな選手」と評する高い技術でポゼッションの起点となりつつ、守備でも正確な跳ね返しを見せて無失点に貢献した。

 柏アカデミーの悲願だったプレミア昇格を置き土産に彼は来年から活躍の舞台をプロに移す。「今、トップにいる4人のCBに追いつきたい。簡単にポジションが取れるものではないし、追いつくために一喜一憂しないで、チームの練習を一つ一つ成功させていきたい。試合に出られる、出られないで自分がブレるのではなく、自分が今までやってきた事をブレずに続ければ試合に出られると思う」。入学時には関東2部だったチームが地道に結果を積み上げ、全国リーグを駆け上がったように、自身もコツコツと成長を積み上げ、ポジション奪取を誓う。

 ちなみに彼が背負う背番号20番は5歳年上の柏の先輩DF島川俊郎(現ブラウブリッツ秋田所属)の影響だという。「小6の時に初めて出会って、喋ってみたら、ちょー優しかった。そして、あの代のサッカーを見ていたから、俺たちが育ってきたと思う。人間性も素晴らしい人だから、20番を背負うずっとシマさんの真似をしてやってきた」と今年は自ら志願して、背番号を受け継いだ。

「それをまた引き継いでくれる人がいるんですけど、誰かは言わないです(笑)。欲しい人が何人かいてくれているんで、来年のお楽しみです」。そうイタズラに笑い、「レイソルの伝統というか、1個上とかだけでなく、5個上の選手とかを見て育つというのは俺にとって大きい。あの人らの代のおかげでこういうサッカーになれたし、俺たちも成長することが出来た」と続けた。彼が先輩から大切なモノを感じ、伝統を引き継いだように、彼から大切なモノを感じ、伝統を引き継ぐ選手もいる。そんな継承作業が続く限り、来年以降も彼だけでなく、柏のアカデミーから目が離せない。

(取材・文 森田将義)
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