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[MOM932]神戸弘陵MF長谷川覚之(3年)_理想の香川に迫る得点ができる背番号「10」

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 神戸弘陵3-0札幌大谷 フクアリ]

 理想とする日本代表MF香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)を彷彿とさせる大活躍だ。4-4-2の左の攻撃的MFに入ったMF長谷川覚之(3年)は、先制点を含む2ゴールで選手権デビューを飾った。中盤の選手だが、特筆すべきはその得点力。県予選でチームが挙げた24得点のうち、半分の12得点をこの背番号「10」が奪っている。

 得点感覚だけでなくパスセンスにも非凡なものがある。むしろ昨年まではパサーの選手だったという。「2年生まではチャンスメイカーだったけど、3年生になってからは勝負を決められる選手になった」。谷純一監督も長谷川の成長に目を見張る。「最上級生になって自分がやらないと、という気持ちになりました」と3年生になってから意識が変わったことを長谷川も認めている。

 シュートよし、パスよし、さらに切れ味鋭いドリブルもよし。そんなエースに対して、札幌大谷も当然徹底的に潰しにかかった。それでも、時にはパスで周囲を使い、時にはドリブルでつっかける。背番号「10」の対応で後手に回ってしまった札幌大谷は、結局2得点を献上してしまった。

 圧巻だったのはパスで崩し切って奪った先制点だ。ゴール正面、PAのすぐ外でボールを持った長谷川は、左サイドのFW菅優介(2年)へはたくとゴール前に進出し、菅からのリターンを落ち着いて右足で合わせた。この場面では、ゴール前に神戸弘陵の5選手が飛び込んでおり、札幌大谷DF陣はマークすべき相手を完全に見失っていた。「PA内に人数をかけて押し込み、最後は流し込んで終わり。狙い通りでした。初戦の緊張の中でもそれができたのがスゴイ」。指揮官も脱帽の、神戸弘陵にとって理想的なゴールだった。

 13年ぶりとなる選手権の初戦で3-0。上々の滑り出しだが、この日のチームの出来は「70点」と長谷川はやや厳しい評価。「(パスを)回すことに関しては良かったんですけど、ラストパスの精度の少しのズレで攻撃のリズムが崩れていくことがあったので。右足につける、左足につけるとかそういったところを意識したい」

 記者から理想の選手を聞かれると「香川選手」と即答した長谷川。その理由とは? 「中盤ではチャンスメイクができるし、ゴール前に入ると自分でも得点できるところが好きですね」。長谷川のプレースタイルと比較すると、なるほど香川とピタリと重なった。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)

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